ルパン三世 ルパンVS複製人間(1978年)
峰不二子の依頼で、エジプトのピラミッドから賢者の石を盗み出したルパン。しかし、石は不二子に騙し取られてしまう。不二子は謎の男マモーと取引していて石を渡すが、実は盗聴器を内蔵した偽物だった。
マモーは、自身を1万年以上生き続けている不老不死の神と称していた。マモーの島には、ナポレオンやヒトラーなど歴史上の人物がいて、彼らはみな自分が作り出したと語る。ルパンはそれを信じないが、マモーが死なない研究をしていたことだけは認める。それは、クローン技術による人体の複製だった。
『ルパン三世』のテレビシリーズやテレビスペシャルは数多くあるが、劇場公開されたアニメとしては、本作が初になる。当時は、テレビ第2シリーズが同時放送されていた。キャラクターは原作に近いアダルトなタッチで描かれ、不二子のヌードシーンなど、大人向けを意識したと思われる。
ルパンを山田康雄、次元大介を小林清志、不二子を増山江威子、石川五ェ門を井上真樹夫、銭形警部を納谷悟朗と、主要キャラクターの声優はこの時期お馴染みの面々。当時は当たり前と思っていたが、今となっては鉄壁の布陣にして超豪華キャストだ。
そして、ゲスト声優もかなり豪華だ。全編通して出演するマモーは、西村晃。以下は特別出演だが、エジプト警察署長が三波春夫、大統領が赤塚不二夫、書記長が梶原一騎となっている。オープニングソングのキャスト紹介でこの人たちの名前を見たときには驚いたが、どの人がどこで出ていたかははっきりわかった。エンディングでは、三波による『ルパン音頭』がバックに流れている。
ルパンのアニメ劇場版というと、次作『カリオストロの城』がこんにち名作として君臨している。確かに、テンポはいいし、名ゼリフは多いし、無茶なカーチェイスはあるし、ルパンはありえない方法でクラリスが閉じ込められている搭に忍び込むし、など、ほぼすべてが名シーンだと言っても言い過ぎではない。ワタシも、何度も観ている作品だ。
がしかし、本作だって決して負けてはいない。いきなりルパンが処刑されたというショッキングなシーンで始まり、ルパンはもちろん生きているが、生きている自分が本物かクローンかという自問自答につながっていく。クローン技術は、『月に囚われた男』『オブリビオン』『アイランド』など、今のSF映画でも描写されるようにはなったが、本作はその先駆的作品のひとつではないだろうか。
また、個人的には2019年の年末にはじめてパリに旅行し、凱旋門を直に見た。そして、自分の記憶にある中で最も古い凱旋門のイメージは、この作品でのシーンだとそのとき気づいたのだ。
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