ニルヴァーナ(Nirvana)『Nevermind 30th Anniversary Edition』
90年代を代表するアルバム、ニルヴァーナ『Nevermind』。2011年には20周年記念エディションがリリースされ、未発表曲が世に出た。そして昨年秋、今度は30周年として、未発表ライヴを中心にした記念盤がリリースされている。ワタシが所有しているのは、CD5枚プラスプルーレイの6枚組だ。
ディスク1は、オリジナルアルバムのリマスター。ディスク2から5が、怒濤のライヴ音源になる。1991年11月オランダのアムステルダム、同年12月のカリフォルニア、1992年2月のオーストラリアのメルボルン、そして、1992年2月19日の中野サンプラザ公演だ。1991年9月、『Nevermind』をリリース。チャートを駆け上がるのを横目に見ながらのツアーになる。
演奏は、アルバム2枚目をリリースしたばかりのバンドとは思えない一体感と結束力の強さで、『Bleach』から飛躍しているのは、ドラマーがデイヴ・グロールに交代したのが大きかったのだろう。カート、クリスとのスリーピース構成は、このときの理想形だったのかもしれない。カートのヴォーカルは荒削りで安定しているとは言いにくいが、その分生々しさがびしびし伝わってくる。『School』のサビは、少し前に『タモリ倶楽部』の空耳アワーで「洋梨むけよ」とされていて、聴くたびに頭をよぎる(笑)。
ディスク6のブルーレイは、ディスク2のオランダ公演の映像版になる。画面は4:3の比率だが、リマスターされたと思われ、画質に問題はない。暗めの映像のため狭い会場に見えるが、バルコニー席もあり、調べたら1800人規模のライヴハウスだった。
アングルは、正面からステージ全体を捉えたショットと、向かって右の袖からのショットが中心だが、時折天井からになったり、デイヴ・クロールのアップになったりする。当然ながら、カートを映すショットが最も多い。
客がステージに上がっては自らフロアにダイヴするという光景が、何度も見られる。時折スタッフが戻しにかかるが、彼らがカートやクリスに触れることはなく、ライヴは中断することなく続行されていた。
『Smells Like Teens Spirit』のときが、やはり最も歓声が多い。1991年11月は、全米チャートで最高位(6位)を記録したときで、まさにバンドが頂点に向けて突き進んでいる真っ只中だったと思う(それがカートを苦しめていると知るのは、もっと後になってからだが)。
カートが死んでニルヴァーナが解散した当時は、ライヴといえば『MTV Unplugged』と『Live! Tonight! Sold Out!』くらいだった。特に後者は、ライヴを観たことのない身としてはとても重宝していた(アムステルダムの映像からは6曲が使われている)。今回の記念盤はライヴづくめで、30年も経つとこういうことが起こるのかと、しみじみしてしまう。
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