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ザ・バットマンをドルビーシネマで観た(結構ネタバレ)

ザ・バットマン

2時間55分の長尺、そして何度目かのリブートになるので、期待半分不安半分だった。しかし、所感としては『ダークナイト』トリロジーに次ぐクオリティの高さだと思っている。

ゴッサムシティの現職市長と市警本部長が、相次いでリドラーと名乗る男に殺害される。リドラーは現場に暗号を残していて、ブルース・ウェインはバットマンとして市警のゴードン警部補と共に捜査を進める。バットマンはペンギンが仕切るクラブへ行くが、ペンギンはしらを切って情報を出さない。しかし、そこで働く女性セリーナが気になったバットマンは、彼女をマークする。

セリーナは、キャットウーマンとしてルームメイトの女性が市長に奪われたパスポートを取り返そうとしていた。バットマンはセリーナを使ってクラブで地方検事コルソンから情報を聞き出そうとするが、彼女は拒否してクラブを後にする。その後コルソンは姿を消すが、翌日、市長葬儀が行われる教会内にクルマが乱入。クルマから出てきたのは、首に爆弾を仕掛けられたコルソン。リドラーの仕業だった。

前半は、バットマンとゴードンによる捜査が軸となり、サスペンスの要素が強い。敵はリドラーだけでなく、ペンギンも何かを掴んでいて、ゴッサムの裏社会を牛耳って政財界にもつながりがあるファルコーネにも行き当たる。かなり複雑な構造になっていて、誰を倒せば解決に向かうのかが、わかりにくくなっている。

中盤以降、ゴッサム再開発の頓挫とその後、ブルースの父とファルコーネとのつながり、セリーナの出自、などが明らかになっていく。ペンギンとバットマンとの激しいカーチェイス、リドラーの策略によるブルースの執事アルフレッドの爆殺未遂など、事態が動いていく。どこに着地するのか、誰を押さえれば収拾するのかと、緊張感が漂う。

市警とバットマンがファルコーネを確保してクラブの出口にまで出たところを、リドラーが射殺。そのリドラーはあっさりと逮捕され、これで解決かと一瞬思わせるが、リドラーはゴッサム各所に大規模な仕掛けをしていた。これが、『ダークナイト』でジョーカーが、『ダークナイト・ライジング』でベインが、それぞれやったのに匹敵する、ゴッサム全体を恐怖に陥れる大規模な仕掛けだった。

リドラーは、『バットマン フォーエヴァー』でジム・キャリーが演じていたときのイメージがあって、そしてそのキャラクターは単体のヴィランとしてメインを張るには少し物足りないと思っていた。がしかし、終盤のダメ押しでそれが払拭されたばかりか、本作の格を一気に押し上げた。

キャストは、ブルース/バットマンにロバート・パティンソン。『テネット』の好演が記憶に新しい人だが、この役は合うかなという疑問もあった。結果は、何の問題もない。バットスーツを身につけたシルエットは強靭かつ美しく見えたし、ブルースのときのダークでヘヴィーな精神性も合っていたと思う。『Something In The Way』の重たいメロディとも、シンクロしていた。ロマンスの相手はセリーナで、メインキャラでありながら必ずしもクリーンではない、ふたりの組み合わせは新鮮だった。

セリーナ・カイル/キャットウーマンは、ゾーイ・クラヴィッツ。個人的には『マッドマックス 怒りのデス・ロード』『ダイバージェント』『ファンタスティック・ビースト』で観ている人になる。今回は活躍する場が多く、妖艶さと脆さを備えたキャラクターのイメージを崩していない。にも、ひけをとっていないと感じた。

リドラーことエドワードは、ポール・ダノという人。誰?と思い調べると、ワタシが観た中では『ラヴ&マーシー 終わらないメロディー』で60年代のを演じていた人だった。思いっきりサイコパス野郎のリドラーとブライアンは、同じ人が演じているとは思えなかった。

ゴードンはジェフリー・ライト、アルフレッドはと、実力あるベテランが脇を固めている。ファルコーネはジョン・タトゥーロという人。エンドロールでの名を見つけ、誰?どこに出てた?と一瞬戸惑ったが、なんとペンギン役だった。特殊メイクによって、ほとんど原形をとどめていなかった。監督はマット・リーヴスで、リメイク版『猿の惑星』などを手掛けている人だ。

全米の興業成績は好スタートを切ったというニュースもあったことだし、ぜひ続編を作ってほしい。なにせ、ラストに出てきた刑務所の囚人があの男だったのだから。ジョークを飛ばし高笑いする、あの男だ。

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