水島新司さん死去

漫画家の水島新司さんが、肺炎で1月10日に亡くなられていた。82歳だった。

『ドカベン』『一球さん』『野球狂の詩』『あぶさん』など、高校野球やプロ野球を舞台にした多くの野球マンガを執筆した。いくつかの作品は、アニメ化もされた。個人的には、アニメから入った作品がほとんどで、一部をマンガで読んだ感じだ。

代表作は『ドカベン』でゆるがないだろう。山田・岩鬼・殿馬・里中擁する明訓高校を軸としつつ、ライバル校との地区予選から甲子園での攻防は、緻密さと荒唐無稽さがいい案配でミックスしていた。バントがホームランになったり、左右どちらでも投げられる投手がいたり、という描写もあれば、ルールブックの盲点を突いた得点もあった。また、実は単行本8巻まではほぼほぼ柔道マンガだった。とはいえ、『ドカベン』をはじめ、水島野球マンガを読み、影響を受けて甲子園に出場したり、プロ選手になった人は、数多くいるはずだ。

個人的には、『あぶさん』に思い入れがある。大酒飲みの主人公「あぶさん」こと景浦は、高校時代ホームランを打つも飲酒がばれて退学になってしまうという、なんとも型破りなエピソードをひっさげてのスタートだった。ドラフト外で南海入りし、長年代打専門だったが、キャリアを積む毎に活動の幅を広げた。一時期は投手をこなし、フル出場して三冠王を獲得もした。あぶさんが現役引退したときや連載が終了したときには、一般のニュースでも報じられた。

水島さんが2020年の暮れに引退宣言をしたときは、年齢もあって体調が思わしくないのではという想像もしていた。ただ、志半ばということもなく、自らの漫画家人生にきれいに幕を閉じたのではなかっただろうか。謹んで、ご冥福をお祈りいたします。