バトル・ロワイヤル
法案に基づいて行われる、全国の中学生から無作為に1クラスを選び、最後のひとりになるまで殺し合いをさせるという「バトル・ロワイヤル」(2000年公開の『バトル・ロワイヤル』)。生き残った七原秋也と中川典子は、自分たちを殺しあうよう仕向けた全ての大人たちに対して宣戦布告。それに対して法案は改正され、またも無作為に選ばれたある中学のひとクラスが、七原らを殺すよう仕向けられる(2003年公開の『バトル・ロワイアル2 鎮魂歌』)。
1作目は、無理やり殺し合わなければならない状況に追い込まれ、極限の状況に追い込まれて人を信じられなくなったり、自分が生き残るために好んで同級生を殺したり、自殺したり、と、凄惨な場面が続く。これが成人ではなく制服を着た中学生なだけに、悲惨さは一層どきつくなっていて、作品としてまとまりがある。対して2作目は、戦う対象が「大人」という漠然としたものになり、テロだ世界だと話を大きくしすぎてしまって、各キャラクターの描き方も、中学生たちが七原と出会ってから後の展開も、焦点が今ひとつ定まらずに薄まってしまった感がある。
特に1作目は、キャストが超豪華だ。生徒役に七原の藤原竜也、中川典子の前田亜季をはじめ、今や国会議員で政党党首の山本太郎、安藤政信、塚本高史、柴咲コウ、栗山千明など、その後ブレイクしている面々が名を連ねている。特になんの躊躇いもなく殺人を実行する役の柴咲、陸上短距離ランナー役の栗山の2人は、強烈なインパクトを残している。クエンティン・タランティーノは、この作品での栗山を観て『キル・ビル』起用を決めた話は最早有名だし、個人的にほかのドラマや映画で見かけてもこのときを超える栗山は見ていない。教師役キタノはビートたけし、前田愛演じる娘のシオリは、1作目では声だけの出演だが、2作目では自ら志願して七原を狙うクラスに加わっている。
監督は、1作目が深作欣ニ、2作目は制作中に欣ニが亡くなり、息子である健太が後を継いで監督を務めている。深作欣ニといえば『仁義なき戦い』シリーズが真っ先に頭に浮かぶが、その手法がここでも生きているように思う。当時国会でも話題になったが、これまでにもヤクザ映画や戦争映画は限りなく作られてきて、それがエンターテイメント映画として成り立っているわけだし、この作品だけを異常視することはないと思う(とはいえ、本作が地上波で放送されるのは難しい気がしている)。
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