『マトリックス レザレクションズ』のパンフレットは「通常版」「特別版」の2種。どちらも必見。
ワタシが『マトリックス レザレクションズ』を劇場で観たのは、公開開始から2週間近く経ってからだ。それまでにパンフレットが「通常版」と「特別版」の2種類あることを知り、前者は『レザレクションズ』を、後者は3部作までカバーした内容とのことだったので、迷わず両方とも購入した。
まずは「通常版」。序盤が、ストーリーやキャラクターのクローズアップ。ラナ・ウォシャワスキー監督やキアヌ・リーブス、キャリー=アン・モスをはじめ、主要キャストのインタビュー。3部作についても、コンパクトにまとめて掲載されている。相関図は、作品観賞後に観るとより状況が整理されて理解が深まる。構成は、一般的な映画パンフレットの作りに倣っている。
そして「特別版」だが、こちらは読み応えがある。『レザレクションズ』や3部作だけでなく、『アニマトリックス』や3本のゲームソフトにまで言及していて、可能な限りの情報を結集している。パンフレットの体ではあるが、文芸雑誌『ユリイカ』を読むのと違わない感覚だ。
『マトリックス』に影響を与えたと言われている『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』を監督した押井守の解説が、『レザレクションズ』のみならず3部作にまで広範囲に及んでいる。『マトリックス』の観客が観たいのは、イカ(センティネル)の大群との戦いじゃないはずと言い切ったのには、まさに同意だ。
関連するキーワードは両パンフレットに掲載されているが、「通常版」は絞り込んでいるのに対し、「特別版」は劇中には直接出てこない(が世界観を理解するためには知っておく必要あり)ワードまでフォローしている。「特別版」にのみ掲載されている「サウンドトラック」の項では、『レザレクションズ』のエンドロールに流れた『Wake Up』は、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンの原曲をブラス・アゲインストというバンドがカヴァーしていると記載されていた。
『マトリックス』に影響を与えた、あるいは関連する作品名がポンポン出てくるのも、読んでいて痛快だった。キアヌやビートたけしが出演した『JM』、ウィリアム・ギブスンの小説『ニューロマンサー』、大友克洋の『AKIRA』、と、個人的にも親しみのある作品たちだ。ラナ・ウォシャワスキーが『マトリックス』前後に監督した作品も、文脈の中で出てくる。『スピード・レーサー』『ジュピター』は、個人的に観ている作品だった。
というわけで、個人的には「特別版」にハマっているが、『マトリックス』4作の世界観により近づくためには両方入手して損はない。
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