マトリックス レザレクションズ(結構ネタバレあり)
トーマス・アンダーソンは、自身が手掛けたゲームソフト『マトリックス』により、世界的なゲームデザイナーの名声を得ていた。しかしトーマスは、時折マトリックスの世界観が脳内にちらついて自分の世界が架空か現実か戸惑うことがあり、セラピーを受けていた。トーマスはカフェで子連れの女性ティファニーと知り合い、お互いに感じるものがあった。
あるとき、トーマスが勤務するビル内で避難指示が出され、同じくして携帯電話に何者かからメッセージが入る。トーマスの前に現れたのは、マトリックスのキャラクターであるモーフィアスだった。また、青い髪の女性バッグスは、トーマスに『マトリックス』はゲームの話ではなく実際にあったこと、今トーマスがいる世界もそうだということを伝え、トーマスを「ネオ」として現実世界へと誘導する。
『マトリックス レボリューションズ』から、実に18年を経ての続編になる。当初、メディアでは1作目に直結する続編と言われていたが、実際は3部作の続編になる。個人的に『マトリックス』はimax版を劇場で観て、『リローデッド』『レボリューションズ』も観返していて、それは正解だった。
冒頭は、女ハッカーを警察が取り囲むシーン(ただし1作目とは微妙に違い、マトリックスがループしているとされている)。以降も、3部作のシーンがあちこちに現れ、設定も継承されている。トーマス/ネオがバッグスを信用する決定打となったのは、彼女の腕にあったウサギの刺青だった。
後半は現実世界での話になり、前作から60年ほど経過していることが判明。人類はザイオンとは別の都市アイオを構築し、モーフィアスの元パートナーだったナイオビがリーダーとなり、統治していた。エグザイルのメロヴィンジアン、そしてエージェント・スミスも登場する。『レボリューションズ』でネオがソースに飛ばされた際、出会った家族のひとり少女サティーが、成長した姿で協力者として登場する。
新たな展開もある。以前は人間とコンピューターは対立する関係でしかなかったが、本作では人類と共生する動物タイプのマシンが登場している。スミスはコンピューターから解放されつつある存在になっていて、ネオらと敵対もするが、利害が一致して一時的にスミスがネオらを助けている。
マトリックスを作ったアーキテクトの後任アナリストは、マトリックスを維持させる使命を負っていた。そのためネオを生存させる必要があったが、ネオだけでは不足していて、トリニティをつかず離れずの距離感で生かしておくことで、マトリックスが機能するとわかった。よって、2人が生かされていたのだ。スミスはマトリックスからの解放を目論んで、ネオたちはトリニティを現実世界に戻したく、利害が一致していた。
3部作ではネオが救世主としてキーパーソンになっていたが、今回は終盤でトリニティを中心に展開する。彼女が、マトリックスに残るか現実世界に行くかという「選択」をすることになる。
キャストは、ネオ/トーマスのキアヌ・リーブス、トリニティのキャリー=アン・モスは継続。ナイオビやメロヴィンジアンも、同じ人が引き続き演じている一方、モーフィアスとスミスは交代している。新キャラのバッグスは、ジェシカ・ヘンウィックという人だった。
個人的には満足の行く出来だったが、興行的には苦戦を強いられているそうだ。要因はふたつあると思う。ひとつ目は、前半がかなりややこしくなっていること。マトリックスの世界なのか、ゲームの世界なのか、それとも現実世界なのか、訳がわからなくなってしまうことがあった。もうひとつは、公開のタイミングだ。日本では『呪術廻戦』と、全米では『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』と被ってしまった。
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