鬼滅の刃 柱合会議・蝶屋敷編

2019年に、半年に渡って放送されていたアニメ『鬼滅の刃 竈門炭治郎立志編』。9月、劇場版『無限列車編』の地上波初放送、テレビ新シリーズ『遊郭編』放送開始に先駆けて、5つのパートに分けて放送された。『柱合会議・蝶屋敷編』は、立志編を締めくくる第5幕になる。

炭治郎と禰豆子は、処遇を巡って柱合裁判にかけられる。鬼殺隊はそもそも鬼を倒すための組織だが、当主の産屋敷輝哉はどちらかといえば炭治郎・禰豆子寄りだが、ほとんどの柱は反発。結局、不死川実弥が自分の血を禰豆子の前に垂らし、鬼なら食いつくはずと挑発するが、禰豆子が克服したことで2人は容認される。

那田蜘蛛山での戦いで負傷した炭治郎・善逸・伊之助は、胡蝶しのぶの蝶屋敷で療養しつつ、訓練を受ける。善逸は体を元に戻す薬が合わずにごね、伊之助は意気消沈。炭治郎は先行して訓練を受けるが、その相手は鬼殺隊最終選抜のときに見かけたカナヲだった。また炭治郎は、しのぶとの対話から彼女の姉が鬼に殺されたこと、カナヲを継子に迎えた経緯などを知る。

それまで炭治郎に感情移入して観ていたこともあって、ここで初登場した柱が甘露路以外は軒並み禰豆子と炭治郎に反発していたのは、テレビ初見時はショッキングだった。ただ、彼らのほとんどは肉親を鬼に殺されていることを後々知るにつけ、鬼を憎む気持ちはわからないでもないと思うようにもなった。

そうした中、輝哉が鱗滝の手紙を読み上げ、もし禰豆子が人間を喰らうことがあれば、富岡と共に腹を切る覚悟であることを示す。2人とも最初は厳しかったが、炭治郎が努力と精進を惜しまないことを知り、認めたのだと思う。師匠、兄弟子、そして炭治郎という師弟ラインが確立された瞬間に思えた。そしてこれは、後々桑島滋悟郎、獪岳、善逸の師弟ラインとは対照を成すことになる。

この編は、柱合会議のほかにもうひとつの会議が実施されている。女装した鬼無辻無惨による、いわゆる「パワハラ会議」だ。無惨は下弦の伍の累が敗れたことを告げ、下弦の鬼たちにダメ出しをする。下弦の鬼たちはなす術なく、無惨の発言を肯定してもだめ、否定してもだめ、助言なんてもってのほか、逃げても逃げ切れない。そうして次々に無惨に処分され、下弦の壱の魘夢だけが無惨に許される。これが、『無限列車編』へとつながっていく。