ブルース・スプリングスティーン(Bruce Springsteen)のドキュメンタリー『Letter To You』を観た
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最終更新日:2021/11/10
Bruce Springsteen ブルース・スプリングスティーン
ブルース・スプリングスティーンは、2020年10月にアルバム『Letter To You』をリリース。その制作を追った同タイトルのドキュメンタリー映像をアップルTVで観た。
全編モノクロ。レコーディングがされたのはニュージャージーの農場にある、スプリングスティーン所有のスタジオ。周囲は自然豊かで、雪景色に彩られていた。上空からのアングルで捉えた光景が、とても美しかった。
『Letter To You』は、Eストリート・バンドと8年ぶりに組んだアルバムだ。リリースはコロナ禍の中となったが、レコーディングはその1年前の2019年にされたとのことだ。
スタジオには、スティーヴン・ヴァン・サント、ニルス・ロフグレン、スプリングスティーンとは公私共にパートナーでもあるパティ・スキャルファら、お馴染みの面々がもちろん確認できる。2011年に亡くなってしまったクラレンス・クレモンズの姿はないが、甥のジェイクがサックスを担っていた。
バンドというより、家族のような和やかな雰囲気で、レコーディングは進められた。とはいえ、勿論言いたいことははっきり言う。曲を作り込みすぎるなと、スプリングスティーンは言われているそうだ。完成された世界観をバンドに渡すのではなく、一緒に作り上げようということのようだ。
スプリングスティーンは、ここでは自身の音楽ルーツや少年期に想いを馳せていた。高校の頃にはじめて組んだバンド「キャスティールズ」のこと、そのときのバンドメイトで亡くなった旧友ジョージ・シースのことについて、懐かしくも少し寂しげに話す姿が、印象的だった。映像には時折若い頃のスプリングスティーンやバンドメンバーの姿が挿入されていた。このレコーディングは、この人の過去と現在を再確認し、そして未来へと進んでいく旅のようにも思えた。
個人的に、スプリングスティーンのライヴを観たのは1度だけある。97年1月の東京国際フォーラム公演で、ソロアコースティックだった。もちろん素晴らしいライヴだったが、つまりはバンドスタイルのライヴを体験できていない。来日もこのとき以降ないので、ファンとしては歯がゆい限りだ。
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