風街オデッセイ2021 第二夜に行ってきた

昨夜の第一夜は、歌謡曲ヒットメドレーの様相を呈していた。第二夜の今夜はニューミュージックが軸になった。第一夜とはまた異なる楽しみを味わえたと共に、松本隆の振り幅の広さを改めて思い知らされた。

【ナイアガラ・トライアングル再現】
伊藤銀次・杉 真理・鈴木 茂
昨夜とはステージのセッティングが変わっていて、マイクスタンドも3本あったことから、もしかしてナイアガラかなと思ったらその通りに。杉真理は竹内まりやのライヴで観たことがあったが、伊藤銀次を観るのははじめて。オープニングとしては贅沢だが、ライヴの流れを作る重要な役割を見事に果たした。

【怒濤のニューミュージック攻勢】
安部恭弘 / 稲垣潤一 / 南 佳孝 / 林 立夫 / 鈴木 茂 / 小坂 忠
安部はデビュー時に松本隆を指名し、松本はデモテープを聴いてアルバム1枚分の詞を書いてくれたとか。稲垣は、自身もドラマーであることから、松本にエールを贈っていた。MCのときの声がとても低く、本人もツッコミを入れていた。

南佳孝では、『スローなブギにしてくれ』の歌い出し「won't you ～♪」に痺れた。この後林立夫と鈴木が合流し、1曲演奏。そして鈴木と林による、昨夜のオープニングと同じセットとなった。小坂忠ははじめて観たが、思った以上にロックテイストでカッコよかった。

【洋楽アーティストをカヴァーしたのは？】
星屑スキャット
アメリカの女性ヴォーカルトリオ、スリー・ディグリーズの曲『ミッドナイト・トレイン』。星屑スキャットは、ミッツ・マングローブ、ギャランティーク和恵、メイリー・ムーによるトリオ。スパンコールのド派手な衣装に頭部は増し増しと、見た目のインパクトがすごい。彼らは普段からショウをこなしていると思われ、堂々たるステージだった。ミッツきれいだった。

【ソロアーティストその1】
堀込泰行 / 藤井 隆
キリンジの堀込は原田真二の『てぃーんず ぶるーす』を、藤井隆は自身の『代官山エレジー』を、それぞれ歌った。チェック柄のスーツ姿の藤井は、イントロの間緊張した面持ちに見えたが、すると軽い変顔をやってから、歌い始めた。曲はシリアスめで、芸人の藤井のイメージを思うといい意味でギャップがあった。

【冨田ラボ・冨田恵一ナビゲート】
冨田恵一 / クミコ / 畠山美由紀 / ハナレグミ / 堀込泰行
昨夜の亀田誠治的なポジションとして、冨田が登場。クミコ、畠山のときはキーボードを弾き、ハナレグミからはギターに持ち替えた。そして、畠山・ハナレグミ・堀込のトリプルヴォーカルで『真冬物語』という曲を。レコーディング時には、作曲の松任谷由実と松本もスタジオに顔を出し、冨田はかなり緊張したそうだ。

【ソロアーティストその2】
中島 愛 / 中川翔子 / さかいゆう / EPO / 吉田美奈子
中島と中川は、路線的には昨夜の方が合っていたが、敢えて第二夜にブッキングしたのかもしれない。さかいゆうはクラブチッタのイベントでRCサクセションの『スローバラード』を歌っていたが、今回も『いつか晴れた日に』『SWEET MEMORIES』を歌うという重責を担った。若手と思っていたら、42歳だそうだ。EPOの『SEPTEMBER』は、正直言って合っていなかった。竹内まりやのソフトな歌い方が独特すぎるのかもしれない。

吉田美奈子は、登場しただけで大御所感が漂った。松田聖子の2曲『瑠璃色の地球』『ガラスの林檎』を歌ったが、前者では歌い出しの瞬間に場内の空気を一変させた。変な表現だが、「国宝」を観ているようだった。後者ではアレンジを大きく変えてジャジーな仕上がりにし、最早松田聖子の面影はかき消されていた。この日、いや2日間を通してのベストアクトだったと思う。

さかいゆうとEPOの間に、風街ばんどによるインスト演奏とメンバー紹介がされた。

【そして、伝説再び】
はっぴいえんど：鈴木 茂 / 細野晴臣 / 松本 隆
昨夜は、鈴木茂はさておき、細野と松本は無表情だった。今回は3人ともリラックスして楽しそうに演奏していたように見えた。『花いちもんめ』では、鈴木のギターのチューニングが合っていなかったのか、イントロの途中で鈴木が中断を要請。場内が和んだ。

サポートは、昨夜と同様風街ばんどから井上とアコギの吉川忠英、そしてムーンライダースの鈴木慶一の3人。『12月の雨の日を』では、鈴木慶一がリードヴォーカルを担った。ラストはもちろん、『風をあつめて』だ。

【エンディング】
出演者全員がステージに揃い、吉田美奈子が松本に花束を渡した（昨夜は太田裕美が渡していた）。中川翔子はいなかった（BSの仮面ライダー特番に生出演するために会場を後にしていた）。2015年に45周年、今回50周年をおこなったので、5年後には55周年をやりたいと鈴木茂が言い、松本はディスクガレージに言っておくと応えていた。なので、5年後また期待していいのかな。