さいとう・たかをさん死去
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最終更新日:2021/10/12
ゴルゴ13
漫画家のさいとう・たかをさんが、先日9月24日に亡くなられていた。死因は膵臓がんで、84歳だった。『鬼平犯科帳』や『藤枝梅安』といった作品もあるが、さいとうさんの代表作はやはり『ゴルゴ13』に尽きる。
凄腕スナイパーのゴルゴ13ことデューク東郷は、世界中の組織から依頼を受けて仕事をこなす。狙撃は本来非合法な行為であり、ふつうに考えればゴルゴは国際指名手配されて命を狙われても仕方がないはずだが(ワタシも全巻は読んでいないので、もしかするとそういう描写をしていた時期があったかもしれない)、CIAやMI6といった国家のスパイ組織がゴルゴに狙撃を依頼することもある。
実写映画化やアニメ化もされている。映画は未見だが、高倉健主演とのこと。アニメは劇場版とテレビ版があり、後者では舘ひろしがゴルゴの声を担っていた。長編漫画にはありがちだが、劇中の時間軸はとっくに破綻していて、時代に照らしたゴルゴの正確な年齢はわからなくなっている。テレビアニメは、もしゴルゴが現代のハイテク社会の中にいるとしたら、という仮定を実現させている。
『ビッグコミック』創刊から連載が開始され、昨年のコロナ禍以外では1度も休載することがなかった。単行本は202巻を数え、歴代最多になる。なぜか床屋や病院には定番のように配置され、そこで待ち時間の間に読むことも少なくなかった。
最終回は既に書き上げられて金庫に収められているという、都市伝説があった。封印が解かれるのかと思いきや、さいとうさんの遺志により、死後も連載は継続されるとのこと。漫画界でいち早く制作の分業制を確立していたからこそ、成せることだろう。アニメでは、長谷川町子が亡くなっても『サザエさん』は続いているし、藤子・F・不二雄が亡くなっても『ドラえもん』が続いている、という例はある。が、原作となると前代未聞ではないだろうか。
80を過ぎてなお現役を貫く姿勢は、ほかの漫画家を刺激していることだろう。謹んで、ご冥福をお祈りいたします。