『オアシス ネブワース1996』を劇場で観た
結論から書くと、想定を大きく上回って楽しめた。個人的にオアシスの来日公演は10回以上観たし、映像作品もほとんど持っている。冷静に淡々と観賞するモードになるかと思いきや、沸き起こる興奮を抑えるのに必死だった。
予備知識なく臨んだので、てっきりライヴ映像をまんま流すだけかと思っていた。がしかし、ドキュメンタリー構成で、チケット争奪戦からファンが現地に向かい、メディアがそれを報じ、と、当時の英国での熱狂ぶりを伝えるところからスタート。ネブワースは、ロンドンから電車やバスを乗り継いで行く、環境に恵まれたところだった(つまり田舎)。
ライヴは土日2日に渡って行われ、計25万人を動員。ゲストも数組いた。マニックス、プロディジー、シャーラタンズ、キャストとのこと。単独公演ならこの集客は当時のギネス記録だが、フェス扱いになってしまい登録はならなかったとのこと。シャーラタンズは、キーボードのロブ・コリンズを数週間前に亡くしたばかりというタイミングだったそうだ。
プロディジーについては、少しだがライヴの模様が流れた。ジャンルの違いもあったかもしれないが、当時オアシスファンにはあまり認知されておらず、それがライヴパフォーマンスによって度肝を抜いたようだった。この翌年に『The Fat Of The Land』をリリースするので、ブレイク前夜のタイミングだったのだろう。
さてオアシスのライヴだが、この時期オープニングSEにしていた『Swamp Song』でバンドが登場。続くは『Acquiesce』で、場内の興奮は早くもMAX状態に。セットリストは2日とも同じだったが、被らないように編集されていた。カメラアングルのスイッチングが目まぐるしく見づらかったのが、強いて言えばこの映像全体に対しての不満だ。
曲は完奏されるものと一部とあり、演奏のヴォリュームが下がるとナレーションが入った。このナレーション、ファン7割バンドメンバー3割くらいで、ファンの体験ベースのコメントが中心になっていた。彼らは当時10代から20代だったと思われるが、とすると現在は40代から50代になっていることだろう。
2日目のライヴは、ラジオで生中継された。チケットを入手できなかったファンは、ラジカセの前に陣取ってカセットで録画しながら楽しんでいた。スマートフォンもSNSもなかった時代、初日の様子は行った人でなければわからなかった。
終盤、ジョン・スクワイアがゲストとして登場。リアムとノエルの中間に陣取り、ラスト2曲『Champagne Supernova』『I Am The Walrus』でギターを弾いた。ジョンは、ストーン・ローゼズ脱退直後だったそうだ。ノエルもリアムも、地元を同じくするローゼズの熱狂的なファンだった。
映像の記録具合やファンへのインタビューの様子などからして、そもそも公式リリースを予定していたのだと思われる。それが25年もかかってしまったのは、リリースのタイミングを逸してしまったからだろう。ボーンヘッドとギグジーはこの後脱退してしまうし、アランも脱退してしまうし、バックステージでリアムと一緒に映っていた当時の婚約者パッツィとも、その後破局を迎えてしまうし。そして、2009年にバンドは解散してしまうし。
こうしたゴタゴタを経て、今回映像が公式に日の目を見たのは、とにかく嬉しい。11月に国内盤は4種類リリースされるが、どれを購入するか、今回の劇場版を観たことで自分の選択は決まった。
ワタシは、川崎のラ・チッタデラ内にある劇場チネチッタで観た。構内にはライヴハウス「クラブチッタ」も隣接していて、95年8月のオアシス2度目の来日公演はココからスタートしていた。そのときのポスターが展示されていて、懐かしく感じた。ワタシがはじめてオアシスを観たのは、8月22日のチッタ公演だったからだ(その翌月、武道館でローゼズを観た)。
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