攻殻機動隊 PERFECT BOOK 1995→2017
士郎正宗原作の『攻殻機動隊』は、いくつかのアニメのバージョンがある。2017年のハリウッド実写映画化に際し、それらを包括した『PERFECT BOOK』が出版された。
冒頭にハリウッド版の紹介をイントロダクション的に据えた後、押井守監督の『GHOST IN THE SHELL』『イノセンス』、神山健治監督の『Stand Alone Complex (S.A.C.)』、黄瀬和哉監督の『ARISE』について、それぞれかなり詳細まで掘り下げている。
ストーリー、キャラクター、メカ、舞台設定といった各パート毎に解説され、続けて読むとそれぞれの差異がわかりやすい。押井版では香港をベースにしたアジア風の都市が舞台だが、国は特定されず無国籍風となっている。『S.A.C.』『ARISE』 は明確に日本とし、大戦によって東京が首都機能を果たせなくなって福岡が首都ということになり、舞台の多くは新浜市という架空の都市になっている。
素子は、『ARISE』以外は田中敦子が声優を務めていることもあって、押井版と神山版にほとんど差はない認識でいた。しかし、実際は着用するスーツをはじめ結構差異があったことに気づかされた。『ARISE』では坂本真綾が声優をしていて、田中との対談も掲載されている。
注目は、Q&Aコーナーだ。そもそも『攻殻』はストーリーの裏側に元ネタがあったり二重の意味があったりしていて、初見でそれらを理解するのは難しい。クエスチョンではそれらに切り込んでいて、アンサーでも一部は推測としながらも一応の回答を定義している。なので、本書はアニメ未見の人のためではなく、ある程度アニメに踏み込んでいる人向けではないかと思っている。
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