ザ・フーの2枚組大作ロックオペラを映像化したミュージカル映画『トミー(Tommy)』
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最終更新日:2023/06/25
The Who エリック・クラプトン, ザ・フー, ロジャー・ダルトリー
戦争で亡くなったと思われていた父が帰還し、母の新しい恋人に殺される。その現場を観てしまった息子トミーは、母とその恋人に、お前は何も見なかった、何も聞かなかったと含められ、それがトラウマになって見えない聞こえない話せないの三重苦を背負ったまま大人になる。その後トミーはピンボールの腕を上げて注目され、やがて三重苦からも解き放たれる。母とその恋人はトミーを救世主に祭り上げるが、信者たちは一度はトミーのもとに集まるも、結局何も変わらないことに気づいてトミーのもとを離れて行く。
ミュージカル映画ということで、セリフのやりとりというのはほとんどなく、出演者たちによって歌われるフーの曲の歌詞がセリフの役を成す。配役は、ロジャー・ダルトリーが主人公トミーを演じ、キース・ムーンがトミーの叔父、エリック・クラプトンが伝道師、ティナ・ターナーがアシッド・クイーン、エルトン・ジョンがピンボールプレーヤー、と、ロックアーティストが多数参加。しかしいちばんの演技を見せているのは、トミーの母親役のアン・マーグレット(女優さん)だと思う。
1976年公開ということで、映像的に稚拙な部分が随所にあるのは否めない(特にアシッド・クイーンの辺り)。また、終盤で母と恋人が死んでから後のシーン、ひたすら山を駆け上り山頂に立って陽の光を浴びるくだりは、映像よりもむしろ音楽が主体だ。これは『さらば青春の光』の終盤のシーンと似通った手法だと思っていて、解釈を観る側にゆだねる形になっている。ワタシが思うに、母もその恋人も死んでひとりになったトミーは、それにより真の解放を得られたのではないだろうか。
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