ザ・フー(The Who)『Who’s Better, Who’s Best (DVD)』
ザ・フーのPV集『Who's Better, Who's Best』を観た。1983年に解散し、以降は断続的に再結成しているものの、主な活動時期は60年代から70年代で、PVといってもテレビ番組出演ものだったり、ウッドストックやドキュメンタリー映画『キッズ・アー・オールライト/The Kids Are Alright』からの引用だったりしている(それでも『Won't Get Fooled Again』でのピートの力の入りようや演奏後にキースに抱きつくシーンにはぐっとくるものがあるが)。しかし、個人的に観たことのない映像もあったので、それなりに結構楽しめた。
冒頭の『My Generation』はテレビ番組での演奏シーンだが、まずここで早くもやってくれている。終盤、ピートはギターの弦をマイクスタンドにこすりつけて弾きまくっているのだ。『Happy Jack』はメンバー4人が盗みに入り、それがいつのまにかパイを顔にぶつけ合うというストーリー仕立てになっていて、単なる演奏シーンのPVではない、ストーリー性を持ったPVのはしりと言えるかもしれない。収録曲の大半は初期に集中していて、コンセプチュアルに走っていた中期においては、個々の曲を売り出すということをあまり考えていなかったのかな?
この映像作品は、もともとVHSとしてリリースされていたものだ。それが2006年にDVDリリースされたのだが、それに際し映像はリマスター化されて画質は向上。そして、3曲のボーナスPVも付与されている。この3曲はいずれも80年代のもので、つまりドラマーはキース・ムーンではなくケニー・ジョーンズ。バンドとしては、70年代にやり尽してしまった感があって、80年代はなんとか時代に適応しようと苦闘してはいるものの、それが空回りに終わってしまっていて、ここでのPVもそれが記録されているようでいて、観る側のマニア度を試されているような気がする。
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