千葉真一さん死去
先日19日、俳優の千葉真一さんが亡くなられた。82歳だった。新型コロナウイルスに感染し、肺炎が悪化。本人の意志により、ワクチンは接種しなかったそうだ。
千葉さんは、日本を代表するアクションスターであると共に、海外進出を果たした先駆者でもあった。テレビドラマにも数多く出演した人だが、個人的には映画で観た印象が強い。
はじめて観たのは、角川映画『戦国自衛隊』の伊庭三尉だと思う。演習中の自衛隊一小隊が突如戦国時代にタイムスリップし、武田信玄の部隊と戦うという奇想天外な設定に加え、現代に戻るよりもこの時代に生きて天下取りを志す伊庭を演じた千葉さんは、威圧感が凄かった。『魔界転生』『伊賀忍法帖』『里見八犬伝』『蘇える金狼』と、80年前後の角川映画には馴染みが深い。
『仁義なき戦い 広島死闘編』での大友役も、鮮烈だった。この編は北大路欣也による山中正治と大友がメインで、シリーズを通じて主人公であるはずの菅原文太演じる広能が脇に回るという、珍しい構成になっていた。本来はまっすぐだが徐々に殺人マシーンと化していく山中と、見た目も言動も行動もワイルドな大友は対照的だった。後で知ったことだが、当初配役は逆だったが、北大路が山中役をやりたいと言い出し、千葉さんは一度山中で役作りしたのを大友でやり直したそうだ。
千葉さんには、ジャパンアクションクラブの創始者という顔もあった。志穂美悦子や真田広之をはじめ、単にアクションをこなせるだけに留まらない、主役を張れる俳優を数多く輩出した。
謹んで、ご冥福をお祈りいたします。近年は、2人の息子、新田真剣祐と眞栄田郷敦が俳優として活躍するようになってきた。調べたら、2人ともファミリーネームは芸名だが、ファーストネームは本名だった。父親としての、千葉さんのこだわりと愛情が表れているように思った。俳優のタイプは父と子で異なるし、そもそも時代も異なるが、役者魂は継承されているに違いない。