怒りの葡萄(1940年)
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最終更新日:2024/04/09
Bruce Springsteen ブルース・スプリングスティーン, レイジ
殺人容疑で服役中だったトム・ジョードは仮出所し、凶作に見舞われていたオクラホマを出て、仕事を求めて家族でカリフォルニアを目指す。しかし着いてみれば、警官が容赦なく暴力を奮い、地主は極端に安い賃金で働かせようとする。やがて労働者の方にストライキを起こそうとする動きが出るが、その首謀者を殺した男をトムは殴り殺してしまい、家族から離れて一人逃亡の旅に出る。
ジョン・スタインベック原作の小説を、ジョン・フォードが監督(2人とも『エデンの東』の原作と監督でも有名)。主人公トム・ジョードを、ヘンリー・フォンダが演じている。原作を読んで感銘を受けたフォンダは、トム・ジョード役を熱望したそうだ。
ブルース・スプリングスティーンは、この作品にインスパイアされて、96年に『The Ghost Of Tom Joad』というアコースティックアルバムをリリースした。原作や映画は、権力や富を得ているひと握りの強者たちと、貧困に喘ぎ差別を受ける弱者との対比を通じて、1930年代のアメリカの闇を描いている。
が、スプリングスティーンは、それから60年が経った今の世の中でも、実はそれほど事態が変わっていないことを、鋭くえぐっている。タイトル曲の中に「警官が誰かを殴りつけてりゃ、俺はそこにいる。」という歌詞があるが、これは映画の終盤でトムが母親に語ったセリフが基になっている。更に付け加えれば、この曲はレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンもカヴァーしている。
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