機動戦士ガンダムAGE MEMORY OF EDEN
『機動戦士ガンダムAGE』は、2011年から2012年にかけてテレビ放送された。A.G.という独自の紀年法が用いられ、人類が宇宙に進出して数100年が経過した世界を舞台としている。主人公が3世代に渡り、4部作として成り立っている。第2部を中心に再構成された、OVA『MEMORY OF EDEN』を観た。
アセム・アスノが通う学校に、ゼハート・ガレットが身元を隠して転校してくる。クラブ活動などを通じ、アセムやロマリー・ストーンと友好を深めるが、ゼハートは地球圏に侵攻する国家ヴェイガンのスパイだった。卒業後、アセムとロマリーは地球連邦軍に入隊。ゼハートは、ヴェイガンの指導者イゼルカントから地球制圧軍の総司令に任命される。アセムとゼハートは戦いの中で再会し、それぞれの主義主張をぶつけ合う。
アセムは戦闘中に行方不明になってしまい、ゼハートはコールドスリープによって歳を取らないまま10数年が経過。ヴェイガンの最高指導者として、イゼルカントから「プロジェクト・エデン」の遂行を託される。このプロジェクトは、火星移民を地球に帰還させる名目だが、地球人類を排除し独占するのが実態だった。アセムの息子キオはヴェイガンを迎え撃ち、アセムは宇宙海賊に身を置いてゼハートを阻止しようとする。
2部構成150分は単体の作品としては長い方だが、テレビ版の凝縮につき強引さは拭えない。特に、終盤はテレビ版を観ていなければついて行けないところもある。そして、1時間の新規シーンが追加されているとのこと。これは、アセムとゼハートをダブル主演に据えていて、2人の対立と友情の交錯をより強調するためと思われる。テレビ版第1部主人公でアセムの父フリットは連邦軍士官となり、若い頃の戦いは回想として組み込まれている。
100年にも渡る戦いや、ガンダムに乗る主人公の交代などの設定は、ガンダムシリーズにおいても異例のスケール感だ。これは、とてもチャレンジングで面白い。ワタシはテレビ版未見だが、観てみたいなと思わせてくれる。
ただ、これは他のガンダムシリーズにも言えることだが、キャラクターのデザインが作品のイメージ付けにかなり影響していて、序盤のアセムやロマリー、そしてキオの丸っこい風貌は、子供向けか?という印象を与えてしまう。自戒も込めるが、偏見を取っ払えばストーリーに没頭できるはずで、このガンダムで描きたいのは何か、を探る楽しみがあっていい(ただ、偏見を持ってしまうのは、『ファースト』という金字塔があるからだ)。
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