ダニエル・キイスの世界
2014年に亡くなった作家ダニエル・キイスの「日本向けガイド本」で、1999年に2度目の来日を果たしたこととリンクして編集され、2000年に出版された。キイスは東京都と名古屋で講演やサイン会を行ったほか、観光もした模様だ。
キイスと宇多田ヒカルとの対談も、収録されている。当時、宇多田は彗星の如く現れたシンガーソングライターで、年齢を確認したらなんと16歳だった。それでいてキイスとほぼ対等に渡り合っていて、このときの彼女の勢いが垣間見られる。
キイス自身のはもちろん、他の作家が具現化した映像や戯曲についての解説もある。作品で取り扱われている多重人格についての、養老孟司と香山リカのインタビューもあった。養老は日米での生活習慣や文化などの違いについて指摘し、日本では多重人格者が生まれにくいのではと語っている。
個人的に、『アルジャーノンに花束を』を筆頭に、キイス作品をいくつか読んだ。『アルジャーノン』には、元になる中編があることがわかったこともあり、まだまだこの人の作品を読み続けることになりそうだ。
関連記事
-
ダニエル・キイス『5番目のサリー』
ニューヨーク。地味でおとなしい性格のサリー・ポーターは、時折記憶喪失になってしまうことが原因
-
ダニエル・キイス『アルジャーノンに花束を』
ダニエル・キイスの代表作にして、傑作との誉れ高いSF小説だ。SFと言っても未来や宇宙を舞台に
-
ダニエル・キイス『ビリー・ミリガンと23の棺』
連続強盗強姦事件の容疑者として逮捕されたビリー・ミリガンは、多重人格障害と診断されたがゆえに
-
ダニエル・キイスさん死去
作家のダニエル・キイスさんが亡くなられた。死因は肺炎の合併症で、86歳だった。 キイス
-
ダニエル・キイス『24人のビリー・ミリガン』
1970年代後半のオハイオ州。3人の女性に対する連続強盗強姦事件が起こり、ビリー・ミリガンが
- PREV
- クルエラ(ネタバレあり)
- NEXT
- ダニエル・キイス『アルジャーノンに花束を』