クルエラ(ネタバレあり)
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最終更新日:2023/06/15
ディズニー エマ・ストーン, エマ・トンプソン, シャーロック・ホームズ, ストゥージズ, ディストピア, ドアーズ, ハリー・ポッター, マーク・ストロング, ミシェル・ファイファー, レッド・ツェッペリン, ロンドン, ローリング・ストーンズ
1970年代のイギリス。生まれつき髪の色が白黒半々の少女エステラは、自己主張の強さゆえに学校では何度も問題を起こす。母と共にロンドンに行くが、ファッションイベントにて自身の行動が引き金となり、母は崖から転落死してしまう。
行く宛のないエステラは、スリの少年ジャスパー、ホーレスと生活を共にする。10年後、独学でデザインを学ぶエステラは、自身のアートが偶然カリスマデザイナーのバロネスの目に留まり、彼女のもとで働きはじめる。デザイナーとしての才能を開花させ、バロネスに認められていくエステラだが、2人の間にはある因縁があった。
おとなしい女性エステラと、暴れん坊のクルエラ。ロンドンに出るときの母との約束で、クルエラとしての振る舞いを封印したエステラだが、母が死の直前に話していたのがバロネスで、彼女が飼い犬に指示して母を突き落とした。エステラは、表向きバロネスの部下として働く一方、クルエラとして何度もエステラを挑発する。
前半はデザイナー志望の女性とカリスマとのつかず離れずの関係の描写になり、『プラダを着た悪魔』を彷彿とさせる。しかし、この状況がいつまでも続くことはなく、エステラがクルエラの人格を爆発させてからは、シリアスとコントとの間をぎりぎり攻めていく。
エステラは人格を器用に使い分け、クルエラを演じているように思われたが、ほんとうに二重人格なのではと感じさせる瞬間がある。しなやかな身のこなしに色気をにじませる振る舞いは、『バットマン・リターンズ』でミシェル・ファイファーが演じていたキャットウーマンを思い起こさせる。
エステラ/クルエラを、エマ・ストーン。彼女が出演している作品はいくつか観ているが、その中ではキャラクターとしては突き抜けている。クルエラになっているときの、何者をも恐れないふてぶてしさは、観ていて気持ちがよかった。
バロネスは、エマ・トンプソン。『ハリー・ポッター』シリーズ然り、近年は主人公を支える大人の女性役のイメージだったが、ここでは権力も財も持ち、プライドが高い女性を演じている。性格はさておき、自らの力で欲しいものを手に入れてきたさまは、理想のビジネスパーソン像と思う。
バロネスの執事ジョンは、マーク・ストロング。個人的には、『シャーロック・ホームズ』のブラックウッド卿や『キックアス』のダミコといった、いわゆる悪役のイメージから入っていた。それが、『キングスマン』のマーリンのような主人公側の役も演じることがあり、本作も当初バロウズ側と思われたのが、実は重要な情報を握っていて、クルエラをサポートする「おいしい」役どころを担っている。
意外だったのが、ロックのテイストがふんだんに組み込まれていたことだ。クルエラのファッションがその代表だが、エステラが仲間に引き入れたアーティは、ゲリラ的に行ったイベントでストゥージズの『I Wanna Be Your Dog』を歌っていた。BGMにはドアーズやローリング・ストーンズ、クラッシュらが流れた。レッド・ツェッペリン『Whole Lotta Love』はカヴァーだったが、帰宅後に調べたらアイク&ティナ・ターナーだった。エンドロールで流れる主題歌は、フローレンス&ザ・マシーンだった。
クルエラは、そもそもは『101匹わんちゃん』のヴィランだ。エンドロールの途中に挿入された映像が、その前振りになっているようだ。
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