レコード・コレクターズ プリンス『Sign ‘O’ The Times』特集
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最終更新日:2023/02/12
書籍 プリンス, ローリング・ストーンズ
レコードコレクターズの2020年10月号は、同年9月にリリースされたプリンス『Sign ‘O' The Times』 の特集だ。
オリジナルは、1987年に2枚組としてリリース。それが、リマスター盤、3枚組デラックスエディション、CD8枚プラスDVDのスーパーデラックスエディションとして再発。ワタシは、迷わずスーパーデラックスエディションを購入した。ハイライトはディスク4~6の未発表曲集だが、予備知識なしに聴くとどうしても『Sign』収録曲の別バージョンの方に気が向かう。ブックレット和訳を読むと制作の模様を垣間見ることができるが、この雑誌にはブックレットとは異なる情報や解説があって、読みごたえがあった。
当初、プリンスは『Parade』の次に『Dream Factory』というアルバムを構想・制作していたが、ザ・レヴォリューション解散に伴い頓挫。続いて、別人格「カミール」名義で同名のアルバム『Camille』を制作するも、こちらも頓挫。そして3枚組の『Crystal Ball』を制作してワーナーに持ちかけるも、長すぎるからと縮小を求められる。絞り込まれて2枚組にまとめたのが、世に出た『Sign』とのこと。
特集には、『Purple Rain』から『Sign』の時期に、レコーディングエンジニアとしてプリンスを支えたスーザン・ロジャーズへのインタビューがある。プリンスのもとで働いた4年間はプライベートはないに等しかったが、とても充実していたそうだ。最も印象的なコメントは、他のアーティストはアルバムを制作するためにレコーディングをするが、プリンスは毎日のように曲を書いてレコーディングしていたとのこと。この人は、その後博士号を取得して現在は音楽院で教鞭をとっているそうだ。
作品そのものは勿論のこと、プリンスのキャリアにおけるこの時期の位置づけなどが、評論家によって解説・分析されている。レコーディング機材にまで言及があり、情報の収集が可能だったんだと驚かされる。また、プリンスは80年代には映画制作も並行でおこなっていて、『アンダー・ザ・チェリー・ムーン』は当時興行的に惨敗したが、現在ではカルト的評価を得ているとのことだった。
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