田村正和さん死去
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追悼
俳優の田村正和さんが、4月3日に亡くなられていて、5月18日に発表された。死因は心不全で、77歳だった。
テレビでは連日正和さんについて報じられ、急遽出演ドラマが再放送されるという動きも出ている。正和さんはインタビューを受けない人とされていたが、その数少ないインタビューも放送されている。映画俳優ではなくテレビ俳優であると、自ら認めていた。
代表作、話題作として挙げられているのは、『眠狂四郎』『古畑任三郎』『パパはニュースキャスター』といったところ。その見方について、異論はない。しかし、個人的に思い入れのあるドラマは別に2つある。
ひとつは、『夏に恋する女たち』だ。1983年にTBSで放送されていて、改めて調べたら全9話だった。正和さんは主人公のカメラマンで、同じマンションに住むそれぞれにワケありな住人たちとの交流を描いていた。名取裕子、原田芳雄、津川雅彦、萬田久子、美保純、岡本信人、と、結構豪華なキャストだった。そして、当時地方に住んでいた身としては、乾いた空気感が漂う作風に、洗練された都会の雰囲気を感じていた。大貫妙子による、同名の主題歌も印象的だった。
もうひとつは、『過ぎし日のセレナーデ』だ。こちらは、フジテレビで1989年から1990年にかけて全21話で放送された。財閥の御曹司とその異母弟との半世紀にも渡る確執を描き、正和さんは主人公の異母弟を演じていた。キャストは、古谷一行、高橋惠子、石野真子、泉谷しげる、野村宏伸、山口智子、野際陽子、池上季実子、黒木瞳など、こちらも超豪華だった。当時そこまで話題にはならなかったが、個人的には大河ドラマにも劣らない大作と思いながら観ていた。
というわけで、ワタシは、コミカルな役柄よりも、クールながらひたむきさを併せ持つ役柄を好んでいた。近年は表舞台に出ることがなかったが、ご本人の意思で静かにフェードアウトしていったようだった。謹んで、ご冥福をお祈りいたします。