ベン・ハー(1959年)
西暦一世紀の前半、ユダヤはローマ帝国の配下にあった。ローマ軍の将校メッサーラとユダヤ良家のベン・ハーは幼馴染みだったが、出世欲に取りつかれたメッサーラは、ベン・ハーと以前のように友好的にはなれなくなっていた。ある事件からベン・ハーは反逆罪に問われ、母と妹は幽閉される。ベン・ハーは奴隷として船の漕ぎ手を強いられるが、あるとき船の司令を助けたことから道が開け、やがてメッサーラとの戦車競争に臨む。
ウィリアム・ワイラー監督、主人公ベン・ハーをチャールトン・ヘストンが演じている。アカデミー11部門獲得は、後に『タイタニック』『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』に並ばれるものの、未だに最多受賞記録であり、映画史に燦然と輝く大作である。大人数をエキストラとしてつぎ込み、軍隊の行進シーンや船上での合戦シーンなど、見どころは満載だ。3時間半オーバーという長さも、観ていて負担にはならなかった。
圧巻は戦車競争の場面で、『スター・ウォーズ ファントム・メナス』のポッドレースや、『ジョジョの奇妙な冒険 第二部 戦闘潮流』でのジョセフとワムウとの対決は、このシーンからの引用と思われるし、またオマージュでもある。
もうひとつ興味深いのは、ベン・ハーとキリストとの邂逅だ。奴隷になったベン・ハーが飢え渇きに苦しんでいたとき、水を差し出したのがキリストだった。そして終盤、十字架を背負いながらゴルゴダの丘へと歩いて行く場面も描かれている。いずれもバックショットやサイドからで、決して顔は画面には出ないという描写になっている。
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