プリンス(Prince)『Ultimate Rave』
廃盤により入手困難になっている、90年代以降のプロジェクト「4EVER」 。その第2弾として、2019年4月にリリースされたのが『Ultimate Rave(レイヴ完全盤)』だ。
ディスク1が1999年リリースのオリジナルアルバム『Rave Un2 The Joy Fantastic』、ディスク2は2001年にリリースされたリミックスアルバム『Rave In2 The Joy Fantastic』、ディスク3はDVD『Rave Un2 The Year 2000』になる。つまり、リマスターされているとはいえ、既発の作品を集約させたに過ぎない。
個人的には、ディスク1および3のオリジナルは発売当時に購入。しかし、リミックスアルバム『Rave In2』はリリース自体を知らないという不覚を取っていて、今回この作品のために「完全盤」を入手した(ファンクラブのプレミアム会員や、ライヴ会場などでの、限定販売だったとのこと)。
ディスク1を、改めて聴いてみた。ブラックミュージックあり、ジャジーあり、メロウありと、結構多彩。シェリル・クロウ『Everything Is Winding Road』のカヴァーには、結構驚かされる。もちろん個々の曲のクオリティは高いが、アルバムとしての一貫性は感じられない。決定的な曲が見当たらないのと、狭いライヴハウス向けのように感じる。
さてディスク2だ。打ち込みのビートにピッチ上げ、同名の曲のロングバージョンなどは、一般的なリミックスアルバムのイメージまんま。プリンスの場合、シングルのカップリングにこの類いの曲が入っていることが多い。
収録曲は完全に対になってはおらず、シェリルのカヴァー『Everything ~』の除外はまだしも、『Strange But True』が落ちて『Beautiful Strange』が入っているのは、大胆にして嬉しい。『Prettyman』は、やはりシークレットトラックになっている。『Hot Wit U』は「Nasty Girl Remix」となっていて、まさかと思ったが、ヴァニティ6に提供した『Nasty Girl』のアレンジに。もう、この曲にしか聴こえなくなってしまった(笑)。
90年代のプリンスは、ワーナーとの確執などから「The Artist Formerly Known As Prince」と改名していて、『Rave Un2』のときも改名後のままだった。後に自身の権利を整理・取得できたことで名前を「Prince」に戻すのは、21世紀になってからのこと。つまり、戻してから最初のリリースが『Rave In2』になる。
ディスク3のDVDについて、日本盤の解説によると、1999年12月中旬に収録され、大晦日に全米で放送された。ゲストを多数動員しているが、そのひとりレニー・クラヴィッツはバハマでバカンス中だったところをプリンスに呼び出され、プライベートジェットで雪のミネアポリスに飛んでライヴに参加したことを、プリンスの死後インタビューで明かしているそうだ。ベースで参加のラリー・グラハムは、この時期以降のプリンスに大きな影響があり、改宗するきっかけを与えている。
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