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プリンス(Prince)『1999(Super Deluxe Edition)』

公開日: : 最終更新日:2023/02/12 CD

プリンス(Prince)『1999(Super Deluxe Edition)』

がワールドワイドでブレイクしたのは、1984年作『Purple Rain』 と同名映画の大ヒットによる。がしかし、アメリカではその前作で1982年にリリースされた『1999』がビルボードに100週以上チャートインし、シングル『Little Red Corvette』のPVが黒人アーティストの作品としてはじめてMTVでオンエアされるなど、既にブレイクしていた。

その『1999』の豪華盤が、2019年秋にリリース。ワタシが持っているのは、CD5枚プラスDVDのスーパーデラックスエディション。先にリリースされた『Purple Rain』の豪華盤を、大きくしのぐ物量だ。

ディスク1は、オリジナルアルバムのリマスター。アナログでは2枚組だったのがCDでは1枚に収まってしまうのは、結構起こりうることだ。冒頭のタイトル曲が6分オーバーなのをはじめ、長尺の曲が多い。世界観としては、それまでの作品でも描いていたセクシャルな要素とロック色とが混合していて、プリンスのキャリアにおいてメジャーにのしあがっていくターニングポイントになっているのではと感じる。

ディスク2は、シングルおよびカップリング曲のリマスター。アルバム未収録のカップリング曲『How Come U Don't Call Me Anymore』『Irresistible Bitch』は、ライヴのセットリストにも組み込まれている重要な曲だ。

ディスク3は1981年11月から1982年4月にかけて録音、ディスク4は1982年4月から1983年1月(『1999』リリース後)に録音された、秘蔵音源になる。アルバム収録曲の別バージョンもあるが、ほとんどが未発表曲だ。『Can't Stop This Feeling I Got』は曲名もそのままに、『Bold Generation』は『New Power Generation』の、つまり、1990年のアルバム『Grafiti Bridge』収録曲の元ねた的な位置づけと思われる。

ディスク5は、1982年11月30日のデトロイトでのライヴ。ディスク6のDVDは、1982年12月29日のヒューストンでのライヴ映像だ。世の中に流通しているライヴ音源、ライヴ映像は、ほとんどが『Purple Rain』以降で、この蔵出しはほんとうにありがたい。冒頭は『1999』のイントロSEからの『Controversy』で、これら2曲をタイトルとするアルバムからを中心にセットリストが組まれている。DVDは、画面は全般的に暗めで、スポットを浴びるのはほとんどプリンスのみ。まれに、ギターソロでデズ・ディッカーソンが、キーボードソロでリサ・コールマンがフィーチャーされる。コーラス参加のジル・ジョーンズはどこにいるんだ?と思ったら、終盤『1999』のときにリサの横にいた。ギターやピアノを弾く一方、肉体を駆使した激しいダンスを踊る。パフォーマーとしてのプリンスのスタイルは、既に確立されている。

個人的な目当ては、聴く前はディスク5、6のライヴだった。がしかし、実際に聴いてみると、ディスク3、4の秘蔵音源も負けず劣らず興味をそそる。未発表曲の多いプリンスだが、曲のベースあるいは断片が、数年後に日の目を見る過程を垣間見ることができたからだ。

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