COBAIN モンタージュ・オブ・ヘック(2015年)
ニルヴァーナのカート・コバーンのドキュメンタリー映画だが、それまでに制作されたドキュメンタリーと異なるのは、カートの娘フランシスが音楽監督を務めているのをはじめ、親族が制作に全面協力していることだ。
特に、カートがニルヴァーナとしてデビューするまでの前半がとても貴重だ。カートの母、父、妹、当時付き合っていた彼女などが、カートについて淡々と語っている。両親はカートが9歳のときに離婚していて、カートはそのことにとても傷ついていたそうだ。内向的であまり人と打ち解けられないというのは、ニルヴァーナとしての活動を知っていると意外に思えた。が、もともとそのような性格だったからこそ、ガンズらを批判し、急激にスターダムにのしあがったことを受け止められなくなったと思う。
ハイスクールのときのクリス・ノヴォゼリックとの出会いが、カートをロックバンドに向かわせる。ニルヴァーナとしてのデビュー後、ドラマーがデイヴ・グロールに交代。『Nevermind』リリース後の商業的成功は、世界中が知るところとなる。各地でのファンの熱狂ぶりがランダムに流され、92年来日公演での日本のファンの熱狂ぶりも、わずかだが映っていた。クリスはこの作品のためにインタビューを受けたが、デイヴのインタビューはニルヴァーナ当時のものだけだったと思う。
後半は、コートニー・ラヴとの出会いから結婚、フランシスの誕生がハイライトだ。カートがハンディカムで自撮りしていて、コートニーのヌード姿も頻繁に登場する。2人ともタバコを吸いまくり、またドラッグ中毒の疑いもあり、よくフランシスは無事に生まれたな、ちゃんと育って大人になったなと思う。ラストはカートがイタリアで自殺未遂して病院に運ばれるシーンで、その後の自殺については直接的には触れられていない。エンドロールでは、『Smells Like Teens Spirit』が流され、ベタではあるがやはりこれしかないという幕引きだ。
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