グランジムーヴメントを扱った映画『hype!』
1996年に劇場公開され、2004年にDVDリリースされた映画『hype!』を観た。90年代始めにシアトルを中心に沸き起こったグランジムーヴメントを回顧したもので、ブリットポップを回顧した映画『リヴ・フォーエヴァー』とは対を成す作品のように思える。
ニルヴァーナやパール・ジャム、サウンドガーデン、アリス・イン・チェインズらは、グランジの枠を超えて全米から世界中にまで知られるバンドとなった。しかし、グランジの中核を成していたのは、そのほとんどがB級といっていいバンドたちだった。ここではそうしたバンドの方にスポットを当て、また写真家やプロデューサー、サブポップのオーナーなどが当時のことを証言している。
音楽的にどうだったというコメントはほとんどなく、ムーヴメントとして勝手に祭り上げられてしまった的な発言が多い。タイトルの「hype」ということばは、「誇大に宣伝されすぎた」という意味だそうだ。結局、ムーヴメントというのは自然発生的に起こるのではなく、誰か仕掛ける人がいてそれで火がつき、飽きられるとすたれていく運命にあるのだろうか。
ワタシが知っている、インタビューに答えているアーティストは、パール・ジャムのエディ・ヴェダーと、サウンドガーデンのドラマーのマット・キャメロン(マットは現在はパール・ジャムのドラマーも兼任)。ムーヴメントの中にいながら、当事者として興奮するでもなく、冷静に受け答えしていた。
パール・ジャム、サウンドガーデン、マッドハニー、メルヴィンズの演奏シーンがあったのは、嬉しかった。特に、クリス・コーネルがギターを弾きながら歌うさまは、この後オーディオスレイヴに参加し、『007 カジノ・ロワイヤル』の主題歌を担当し、そして亡くなってしまったという事実を知った上で観ると、少しぐっときてしまう。
このDVDの宣伝文句は、ニルヴァーナが『Smells Like Teens Spirit』を初めて演奏したシーンが入っていることだ。ニルヴァーナのボックス『With The Lights Out』のDVDには、公式映像としてこのときの映像が収められているが、ここではステージ向かって左のファンが暴れている視点から撮られていて(なので恐らく隠し撮り)、カメラのブレ具合がその場での熱狂を凄さを物語っている。
93年にはヤング・フレッシュ・フェローズというバンドが来日していて、その模様も収録。ライヴ、CDショップでのサイン会、集まった日本人ファンの様子はもとより、当時はまだあった原宿の歩行者天国に立ち寄ったときの映像などもあって、時の流れを感じさせる。
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