Pen BOOKS 石ノ森章太郎とサイボーグ009
雑誌Penでは、2012年9月の月刊号にてサイボーグ009の特集を組んでいた。そして2018年、今度はサイボーグ009に特化した号を刊行している。
がしかし、内容的には2012年の号と大きくかぶる。文章や写真はほとんどそのまま、強いて言えばストーリー紹介や登場キャラクター、メカなどをクローズアップしたページが、拡大されたことだろうか。各編は、2012年の号ではだいたい2分の1ページだったのが、こちらでは2ページで紹介されている。
取り扱いは原作マンガオンリーで、アニメをはじめ別のメディアには全く触れられていない。その代わり、2012年の号にはない要素が、大きく2つ掲載されている。
ひとつめは、ほかのマンガ家との交流だ。さいとうたかをと親しいことは2012年の号でも触れられているが、こちらでは師匠でありある意味ライバルでもあった、手塚治虫との関係がクローズアップされている。
高校生の石ノ森が漫画雑誌に投稿を続け、それは選考委員の手塚の目にも留まっていた。やがて手塚は、石ノ森にアシスタントを依頼する。このエピソードは知っていた。しかし、手塚が自分に来た依頼の代役に石ノ森を推薦し、『怪傑ハリマオ』についてはネームとラフを手塚が書いて石ノ森が仕上げたというエピソードは、この書ではじめて知った。『ジュン』における「事件」のことにも、もちろん触れている。
ふたつめは、石ノ森が手がけた他の作品紹介だ。『幻魔大戦』『仮面ライダー』『キカイダー』『HOTEL』『佐武と市捕物控』『さるとびエッちゃん』『がんばれロボコン』『マンガ日本経済入門』など。つまり、石ノ森がSF一辺倒ではなく、少女マンガやギャグや時代劇など、多くのジャンルに渡って書いていたことを示している。
ワタシは2冊とも買ってしまったが、もしどちらか1冊を選ぶとなると、2012年の号になると思う。『009』について、マンガだけでなくアニメも取り扱っていて、個人的に思い入れの深い1979~1980年版や、劇場まで観に行った『009 RE:CYBORG』についても触れているからだ。
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