サイボーグ009 THE CYBORG SOLDIER
石ノ森章太郎の代表作、『サイボーグ009』。何度もアニメ化されているが、2001年から2002年にかけては、テレビ東京で第3弾が放送されていた。第1弾は1968年に放送され、モノクロだった(ワタシは未見で、放送されていたという事実を知るのみ)。
第2弾は1979年から1980年にかけて放送され原作にはないオリジナルのストーリーがあるなど、それなりにブームにもなった。ワタシが見ていたのもこのときで、学校ではサイボーグ戦士9人の名前と出身国を暗記するのを友人と競うという、今思い出すと恥ずかしいことをやっていたが、それもいい思い出だ。
石ノ森は、高校生のときに手塚治虫の『鉄腕アトム』の制作を手伝ったこともあり、在学中にプロデビューを果たした、言わば「天才」だ。仮面ライダーを始めとする改造人間ものの原作をいくつも手がけ、晩年はテレビで不定期に放送された『HOTEL』の原作や『マンガ日本経済入門』といった、子供だけでなく大人の鑑賞にも充分たえ得る作品を書いていた。改めて言うまでもなく、日本を代表する漫画家のひとりである。
さて第3弾は、主題歌がGlobeだったりアニメのクオリティが向上したりして、制作側が21世紀の制作技術や時代感覚を持ち込んだ作りになっている。が、ストーリーは原作に忠実。秘密結社ブラックゴーストの兵器として作られた9人のサイボーグが脱走し、ブラックゴーストと対決する。
原作の連載開始は1964年だが、今の時代にも充分通用する優れた作品だ。改造人間になってしまった悲しみを背負いながら、戦いそして生きて行くという姿はまんま仮面ライダーだし、映画『ブレードランナー』のレプリカントを先取りしたとも言えるかもしれない(原作『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』の刊行を調べたら1968年だった)。
第4話は、ブラックゴーストが刺客として0010(双子の兄弟)を仕向け、「裏切り者」となった9人と戦うというもの。第2弾では描かれなかったが、原作には存在するエピソードだ。0010は9人を凌駕する能力を備えていながら、その体が電気を帯びていることから、互いが触れ合ったときにショートして死んでしまう。兄弟なのに死ななければ触れ合うことができないという、改造人間であるがゆえの悲しみを浮き出している。
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