ゴッドファーザーPART3(1990年)
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最終更新日:2020/12/30
ゴッドファーザー アル・パチーノ, フランシス・フォード・コッポラ
1979年。拠点を再びニューヨークに移したマイケル・コルレオーネは、父の名を冠したヴィトー・コルレオーネ財団を設立して多額の寄付をおこない、バチカンから叙勲を受ける。寄付の窓口となった大司教を通じ、バチカンと関係の深い投資会社の経営権を奪取することで、ファミリーの合法化を目指していた。
マイケルの息子アンソニーは、ファミリーとは一線を引き、大学を中退してオペラ歌手を志していた。マイケルは、長兄ソニーの私生児ヴィンセントを後継者に据えようとする。幹部会議にて、ファミリーは新興マフィアのジョーイ・ザザによりヘリコプターで襲撃され、多くが死亡。ヴィンセントはザザに報復するが、マイケルは小物のザザを相手にするなと叱責。一方、マイケルの娘メアリーはヴィンセントに惹かれていく。
シリーズ3作目にして、完結編になる。1作目と2作目のインターバルは2年、しかし本作は2作目から16年が経過していて、公開当時は今さら感が漂っていた。興行的には前2作を下回り、評価も得られなかった。確かに、前2作にはほとんど同じ空気感が共通であるが、本作には別物の雰囲気がある。
ただ、3作を続けて鑑賞し、劇中の各キャラクターがたどる運命、生きざまを通して見ると、感慨深いものがある。本作は後半の舞台をシチリア島に移していて、1作目との関連があちこちに見られるのだ。
2作目までは家族はバラバラになる一方だったが、本作では結束の方向に向かっている。一行がシチリアに向かったのは、アンソニーが出演するオペラを観るためだった。マイケルと離婚したケイもはじめてシチリアを訪れ、マイケルがエスコートする。
マイケルの最初の妻アポロニアのことも、話題になる。ケイは半分冗談気味にマイケルを突っつき、メアリーは若い頃の2人の写真を見る。1作目ではマイケルをかくまい、2作目では若きヴィトーの復讐をサポートしたトマシーノは、今回もマイケルのよき相談相手になる。
妹のコニーは、それまでマイケルに反発してばかりだったが、前作での母の死、そして過酷な運命を引き受けているマイケルに共鳴し、サポートにまわる。また、ヴィンセントの母親的な役回りも担う。
シリーズの、いや、今やマフィア作品の象徴にもなっている、ローラ・ニーロの『愛のテーマ』。劇中で流れるのは、3作ともシチリアの場面でだった。
監督は、もちろんフランシス・フォード・コッポラ。マイケルをアル・パチーノ、ケイをダイアン・キートン、コニーをタリア・シャイアと、主要キャストはお馴染みだ。一方で、ヴィンセントはアンディ・ガルシア、序盤に登場する女性ジャーナリストをブリジッド・フォンダと、次世代の俳優陣が名を連ねている。そして、メアリーはコッポラの娘ソフィアだ。
アンディ・ガルシアは、「アンタッチャブル」「ブラック・レイン」と、この時期立て続けに話題作に出演していて、勢いそのままに荒々しい役どころを演じている。俳優一家のブリジッド・フォンダは、このあと「シングルス」「アサシン」などに出演している。
ソフィア・コッポラは、本作でのヒロインだが、当時かなり批判の的になった。それまでも「アウトサイダー」「ランブルフィッシュ」などのコッポラ作品には出演していたが、本作では役の重要さが段違いで、そこへきて演技経験の乏しさを露呈させてしまったからだ。ソフィアがその後映画監督への道を進んだのは、正しかったと思う。
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