ジョージ・ハリスン(George Harrison)(2)
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最終更新日:2020/11/30
George Harrison クーラ・シェイカー, ジョージ・ハリスン, ビートルズ
ジョージのソロ代表作が『All Things Must Pass』であることに異論を挟む人は、あまりいないと思われる。曲のクオリティの高さもさることながら、ビートルズ解散後にアナログ3枚組の大作としてリリースされたこともあって、そのインパクトたるや絶大なものだ。
しかし、実はこの作品はジョージにとってのソロ1作目ではない。なんとビートルズ在籍時に、2枚のソロアルバムをリリースしている。敢えて邦題の方で書くと、『不思議な壁』『電子音楽の世界』だ。以降のジョージのソロの作風とは一線を画しているが、今回通しで聴いて、ワタシにはこの2枚が最もツボだった。
『不思議な壁』は全編インストで、もしかしてと思ったらやはり同名映画のサントラ盤だった(ジェーン・バーキン主演だそうだ)。『電子音楽の世界』は、その名の通り電子音がベースだが、それにインド音楽のテイストがうまく絡み合っている。その後のソロでのジョージが歌う曲には、この人の人となりというか、ソフトで温かそうな人柄が滲み出ていると思うのだが、これらの音はひたすら実験的で、ジョージの野心を感じさせる。
後のプログレよりも実験的で、後のパンク~ニューウェイヴよりも研ぎ澄まされた音のように思えるのだが、悲しいかな、ビートルズの金看板があるがために、語られることの少ない作品になっていると思う。しかし21世紀の現在、ポストロックやエレクトロニカなどのいわゆる「音響系」と呼ばれるアーティストたちに、この音は継承されていると感じる。インド風テイストを除いては。
インドテイストを継承した、現時点で恐らく唯一のロックアーティストと思われるのが、クーラ・シェイカーだ。ジョージの『Ski-Ing』のリフを引用した『Gokula』がそれで、なんでも当初は許可が降りなかったそうだが、クリスピアン・ミルズがジョージ宛に手紙で訴えて認められたそう。クレジットは、ミルズ/ハリスンとなっている。
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