トゥームストーン(1993年)
元保安官のワイアット・アープは、妻や兄弟らと共に平穏な暮らしを望んでアリゾナ州のトゥームストーンにやってきた。しかし、ゴールドラッシュに湧くこの町は、ギャングのカウボーイズに牛耳られていた。
町の老保安官が酒に酔ったカウボーイズのカーリーに殺されてしまい、アープ兄弟は町の保安官を引き受ける。その後もカウボーイズとのいざこざがあり、ついに両者はOK牧場で決闘することになる。ワイアットは親友ドク・ホリディと再会し、カウボーイズを迎え撃つ。
「OK牧場の決闘」を扱った映画は数多くあるが、年季の入った西部劇映画とは異なり、比較的新しい感覚で描かれていてとっつきやすい。何よりキャストが豪華で、アープをカート・ラッセル、ドクをヴァル・キルマー、カウボーイズの凄腕ガンマンはマイケル・ビーンと、当時の若手俳優を揃えている。一方で、ワイアットをサポートする牧場主にチャールトン・ヘストン、冒頭のナレーションにロバート・ミッチャムと、いずれ劣らぬ演技派が揃っている。
アープもドクもクールでいながら内に闘志を秘めるタイプで、これが保安官の理想像なのかと思ってしまう。決闘での撃ち合いの場面が、思ったよりも短くコンパクトにまとまりすぎているように思えて少々拍子抜けしたが、映像の美しさや飄々とした空気感は結構気に入っている。史実に基づきつつも、娯楽作品としての脚色がされているようだ。
本作公開の翌年には、ケビン・コスナーが主演した、その名も「ワイアット・アープ」が公開されている。また、トゥームストーンは直訳すれば「墓石」で、ことば自体はプロレス技の「ツームストーン・パイルドライバー」やボブ・ディランの曲『Tombstone Blues』で知ってはいた。が、その名を冠した町が実在するということは、この作品で初めて知った。
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