007 慰めの報酬(2008年)
ヴェネチアで金の入ったトランクを奪ったミスター・ホワイトを捕らえた、ジェームズ・ボンド。組織の追手を振り切り、シエーナのMI6のアジトでホワイトを尋問するが、突如仲間が裏切り、ホワイトは逃亡してしまう。ボンドは裏切り者を殺し、所有物から手掛かりを得てハイチに飛ぶ。
ボンドは、ハイチでカミーユという女性と接触。彼女は元恋人のドミニク・グリーンを通じてボリビアのメドラーヌ将軍に近づくが、ボンドは彼女を引き離す。ドミニクは表向き環境団体の代表だが、裏では組織の幹部としてメドラーヌを支援しつつ、ボリビアの資源採掘の利権を得ようとしていた。
ダニエル・クレイグがボンド役になってからの、2作目になる。中盤、殺人犯に仕立てあげられたり、容疑者を生け捕りにできず何人も殺害してしまい、Mから任務解除されかけるなど、何度か窮地に陥る。しかし鋼の精神は揺らぐことはなく、自身はドミニクを追い詰め、カミーユにはメドラーヌへの仇討ちのアドバイスをする。
ボンドガールのカミーユは、オルガ・キュリレンコ。個人的には「オブリビオン」のヒロインのイメージが強く、その後「テリー・ギリアムのドン・キホーテ」「9人の翻訳家」でも観ているが、時系列ではカミーユ役が最も早い。肌が褐色で見た目の印象が独特なのと、家族をメドラーヌに殺されて復讐心に満ちている役柄は、上記の作品での役柄とはダブらない。
主題歌は、ジャック・ホワイトとアリシア・キーズ。男女デュエットは、シリーズ初かな。ロック色とコンテンポラリー色が程よくミックスされつつ、シリーズの主題歌を継承した曲調は、してやったりだろうか。
冒頭が、ミスター・ホワイトを追い詰めた前作「カジノ・ロワイヤル」のラストから直結。また、亡くなったヴェスパーの名前が何度も出てくるなど、ストーリー的には実質的に前作とセットになっていて、2つの作品の連続性を保持するのは、シリーズ初だと思う。観る順番を誤ると、ややこしいことになる。
中盤、ドミニクはハイチからチェコのプラハに飛び、オペラを観ながら観客として集まった組織幹部や各国要人に、採掘利権についてのプレゼンをおこなう(そしてボンドに妨害される)。この場にはミスター・ホワイトの姿も確認でき、MI6やCIAが標的とするべき組織の輪郭が、徐々に見え始めてくる。組織名は、ここでは「クァンタム」となっているが、次作以降で少しずつ明らかになっていく。
関連記事
-
007 カジノ・ロワイヤル(2006年)
ジェームズ・ボンドは、マダガスカルで武器密造人を監視し、射殺。その男の携帯電話のメッセージ「
-
007 スカイフォール(2012年)
MI6のエージェント、007ことジェームズ・ボンドは、トルコで漏洩した情報を入手した敵と格闘
-
007 スペクター(2015年)
メキシコシティで開催中の祭の中、007ことジェームズ・ボンドはスキアラという男を襲い、最終的
-
007 ノー・タイム・トゥ・ダイ(少しネタバレ)
MI6を離れ、マドレーヌと共にイタリア南部に向かったジェームズ・ボンド。ヴェスパーの墓を訪れ
-
『Pen+ 007完全読本』を読んだ
数回の延期を経て、ついに公開された『007 ノー・タイム・トゥ・ダイ(以下NTTD)』。それ
- PREV
- 探偵物語
- NEXT
- 野獣死すべし(1980年)