俺達に墓はない(1979年)
刑務所帰りの島はヤクザのノミ屋の金庫を狙うが、なんと金庫を襲撃した先客がいた。島は男(滝田)を追い詰めるが、2人はお互いの腕を認めて手を組むことに。一方、島の弟分ヒコはノミ屋襲撃の際ヤクザにつかまってしまい、滝田を逆恨みする。島と滝田は賭博ツアーのバスを襲って大金を手に入れるが、その後ヒコが滝田を襲い、それを島が押さえるという格好になり、人間関係がどんどん危うくなっていく。
主人公の島を松田優作、ヒコを岩城滉一、滝田を志賀勝が演じている。仲間のような敵のような微妙な関係が、徐々に崩れていくさまがよくできている。結局信じられるのは自分だけという、ニヒルでストイックな視点が根底にあるように思う。松田優作の存在感が抜きん出ているのは言わずもがなだが、ただクールでカッコいいだけでなく、コミカルなセリフも随所にあって、そのアンバランスさもいいスパイスだ。
松田優作と岩城滉一は、実年齢は2歳しか変わらないのだが、「人間の証明」と同様、劇中の2人の格差の大きさには戸惑ってしまう。それとも、当時としては自然な位置づけで、その後岩城滉一が力をつけて存在感を増したということなのかな。
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