ボウリング・フォー・コロンバイン(2002年)
1999年4月。コロラド州コロンバイン高校において、生徒2人が銃を乱射し13人を射殺。そして最後は自殺するという、衝撃的な事件が起こった。マイケル・ムーア監督は、この事件に端を発し、アメリカ銃社会に切り込んだドキュメンタリーを制作した。
劇中では、高校内に設置されていたモノクロのビデオカメラの映像が4分割で流される。逃げ回る生徒たちと、追い詰める銃を持った2人という、ナマナマしい光景が繰り広げられる。BGMがない無音状態だが、警察か救急に通報している会話の音声がバックで流れている。一連のショット、観ていて胸を締め付けられる想いがする。また、小学生の少年が叔父のピストルを見つけ、学校で同級生の少女を殺してしまうという事件も起こっている。
銃犯罪は、他国に比べてアメリカが桁違いに多い。マイケル・ムーアは、なぜこんなことが起こったのかと思い立ち、自らあちこちにアポなし取材を試みる。この生徒がよく聴いていた音楽だという理由で、コロラド州ではマリリン・マンソンのライヴが禁止。マンソン本人は、オレに責任を押し付けた方が都合がいいからだろと、冷静に答えている。この高校生2人は、事件の直前にボウリングに興じていたとのこと。マンソンのライヴを規制するなら、どうしてボウリングを規制しない?という、痛烈な皮肉を浴びせる場面もある。
アメリカ=銃社会という認識は、ぼんやりとは持っていたが、コロンバイン高校の事件で使われた銃弾は、スーパーマーケットで買われたのだそうだ。そして事件の少し後、全米ライフル協会の大会が、この地で行われる。マイケル・ムーアは、会長のチャールトン・ヘストンを取材。ヘストンはあいまいな受け答えしかできず、最後には逃げ回る始末だ(映画の効果があったのかなかったのか、その後ヘストンは会長を辞任している)。また、ムーアはコロンバインで傷を負った生徒を連れてスーパーマーケットの本社まで出向き、今後銃及び銃弾を回収し、販売しないよう約束させた。ワタシは、この人はもっと強引でムチャクチャやる人なのかと思っていたのだが、映画の中では驚くほどに静かで、淡々と取材をしているように見て取れた。
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