ルー・リード(Lou Reed)『Spanish Fly : Live in Spain』
ルー・リードのライヴDVDを観た。2004年8月にスペイン・バレンシアで行われた、ベニカシムフェスティバルに出演したときのもので、日程的にはフジロック'04のグリーンステージヘッドライナーを務めた約2週間後にあたる。
メンバーは、ルーのほか、ベースのフェルナンド・ソーンダース、ギターのマイク・ラスケ、それにドラマーと女性チェリストという布陣。アクリル板がドラムセットの前方を覆っているのが目だつだけで、ステージ上には特に装飾はなく、広いステージの前方中央部にメンバーが集結している。どれくらいのステージ規模なのかを映像から一生懸命判別しようとしたのだが、見ようによってはフジロックのグリーンステージ規模にも見えて、正直判別しがたいところだ。
実際に演奏された曲からは1曲がカットされているらしく、ここでのオープニングは『Modern Dance』。『Venus In Furs』や『Sweet Jane』といったヴェルヴェットナンバーから、ソロでは定番的な『Satellite of Love』『Romeo Had Juliette』、更には『Blue Mask』など意外な選曲もあった。ルーは黒の半袖Tシャツというシンプルな格好で、バンドメンバーも黒を基調とした衣装をまとっている。間奏ではルーとマイクによるツインでのギターインプロヴィゼーションが繰り広げられ、硬質の金属音が冷ややかに響き渡る。『Perfect Day』でライヴを終え、いったんはメンバーがステージ中央に集まって挨拶をしたのだが、その後ルーが人差し指を掲げてあと1曲やるぜ的な素振りをし、メンバーが慌ててそれぞれの持ち場に戻るという具合。そしてオーラスは、『Walk On The Wild Side』だった。
ワタシは、フジロックではライヴの終盤だけを観た。そしてこの映像を観て、改めて思ったことがある。確かにルー・リードは稀有な存在感を誇るアーティストだが、その魅力はやはりある程度密閉された空間でこそ映えてくるのだと。フジのグリーンステージヘッドライナーというブッキングは、ミスマッチだったのだ。それはその当時もそう思いこの場に書いているし、今回再認識したのだ。せめてホワイトステージ、いやもっと小さな規模のステージの方が、ルーの歌やギターインプロは際立ったと思う。
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