「リアム・ギャラガー:アズ・イット・ワズ」を観た
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最終更新日:2022/11/23
Liam Gallagher アンディ・ベル, オアシス, リアム・ギャラガー
リアム・ギャラガーのドキュメンタリー映画で、オアシス解散からソロでの再生までを追った映像だ。
2009年の夏の終わり、フランスの野外フェスティバル。リアムとノエルが楽屋で大ゲンカして決裂し、ライブが行えないと主催者がステージからアナウンス。その後、ノエルは正式にオアシス脱退を表明する。オアシスが「終わった」瞬間だった。
リアムは、アンディ・ベルやゲムらとビーディ・アイを結成し活動。2枚のアルバムを発表したが、商業的にも評価の面でも大きな成果を得ることなく解散。また、プライベートでも離婚問題を抱え、それらがメディアに叩かれ、疲弊し追い込まれていた。
リアムの自宅のリビング、実家のノエルとリアムの部屋など、プライベートな空間を惜しまず露出している。リアムのコメントは字幕が「クソ・・」の連発で(笑)、恐らくFワードを連呼していたのだろう。しかし、その多くは自らに向けられていた。
周囲から支えた人びとも、コメントを寄せている。リアムは3人兄弟の末っ子だが、長兄ポールが頻繁に登場。そして、元オアシスのメンバーだったボーンヘッドも。どん底のリアムはポールに連絡し、自家用機でどこかに行きたいと助けを求めた。ポールは最も早く手配できる機を探し、2人でイタリアに飛んだ。翌日には、ボーンヘッドもかけつけた。
ポールは、苦しいときはいつも3人で解決してきたと言っていて、兄であるポールはともかく、ボーンヘッドがリアムと絆が深かったのは意外だった。ステージで共演したり、ツイッター上でやりとりしているのは見たことがあるが、それらはソロになった近年のことと思っていたからだ。
もうひとりリアムを支えているのが、マネージャーであり現在のパートナーのデビーだ。ビジネス上では、当然ながら常にリアムに帯同。ステージに出る直前、だいたい2人はキスを交わしていた。レノンとジーンの2人の子供も、母親の側ではなく、リアムの方についているようだ。
ソロで再起を賭けるというタイミングの中、ポイントとなるステージが2つあった。ひとつは、マンチェスターのアリアナ・グランデのライブでテロ事件が発生し、そのショックが残る中でのチャリティーイベントだ。コールドプレイのクリス・マーティンからのアポを受け、2人は『Live Forever』を歌った。
もうひとつは、グラストンベリーだ。リアムはステージに上がる直前まで客入りは見ないそうだが、どれだけの人が集まってくれているが不安だったとのこと。しかし、ステージ前には数万人の大観衆がリアムを迎えていた。関係者によるナレーションは、土曜の昼に奇跡が起こったと、この光景を形容した。
日本の様子も、わずかだが確認できた。ホテルからツアーバスに乗って移動する光景を、世界各地の映像をランダムに組み合わせていて、首都高を走るバスの車中や、新幹線のホームでサインに応じる姿などがあった。
リアムは、ファンのサインには気さくに応じるそうだ(ノエルはサインはしないと公言している)。また、ダブリンでは入り待ちしていたファンがチケットを持っていないことを聞き、ゲストリストに名前を書かせていた。
劇中、オアシス時代の映像は断片的に映るものの、オアシスの曲は一切流れない。ノエルが許可しなかったからだと言われていて、当然ながらノエルとの確執についても随所で触れている。リアムにはリアムの、そしてノエルにはノエルの言い分があるようで、端から見ていればどっちもどっちだよなと思う。
バンドで大きな成功を収めたアーティストが、解散後の活動でも成功している例は、あまり多くはない。もしビーディー・アイのまま終わっていれば、リアムもそうなっているところだった。そこへ来ての、『Wall Of Glass』のイントロを聴いたときの衝撃と感動は、忘れられない。個人的には武道館のかなり前の席でライブを観ることもできて、アンコールでまさかの『Be Here Now』には驚かされ、そして嬉しくなった。
ノエルはオアシス以降オアシスにとらわれない音楽をやっていて、それはそれでもちろんアリだ。そして、オアシスを聴いてきたファンに応えたのは、リアムの方だと思う。そこに、この人の復活に賭ける意地、そしてソロアーティストとしての覚悟を見た気がする。
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