トゥパック:レザレクション(2003年)
96年に射殺され25歳の若さで亡くなったラッパー、2パック。その生涯をたどったドキュメンタリー映画を観た。
トゥパックはニューヨークのハーレムに生まれ、少年期は貧しさに苦しんだ。父はなく、母はブラックパンサー党(黒人民族主義運動・黒人解放闘争を展開していた急進的な政治組織)に入党する活動家だった。高校を中退したトゥパックは、クスリの売人などをしながらやがてラッパーとしてデビュー。自らの体験でもある、黒人であるというだけで受ける不当な差別に対する反発を歌詞にした曲を歌い、成功を手にする(俳優として何本かの映画にも出演)。しかし過激なスタイルなだけに敵も多く、警察には常に目をつけられる存在に。やがて、ファンへの暴行疑惑で実刑判決を受けて刑務所に入る。また、銃撃されて一命をとりとめ、これをノトーリアスB.I.G.側の差し金ではないかと疑い、抗争が勃発。そんな中再び銃撃を受けてしまい、ついに帰らぬ人となってしまった。
伝記映画ではなくドキュメンタリー映画で、登場するのはトゥパック本人をはじめ、ほとんどが実際の映像だと思われる。人脈は意外に広く、ジャネット・ジャクソンとは映画で共演し、他にもマドンナやマイク・タイソンなどが登場。タイソンには入場曲を提供していて、ラスベガスで試合を観戦した後に襲撃されて亡くなっている。犯人は不明。ノトーリアスB.I.G.にも疑惑の目が向けられたが、この人もトゥパックが亡くなった約半年後にやはり射殺されている。かつてのミュージシャンはドラッグに溺れて命を落とすケースが少なくなかったが、トゥパックやノトーリアスB.I.G.の死には、現代アメリカの病んだ一面が見え隠れしているように思える。
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