007 オクトパシー(1983年)
東ベルリンに潜入していた英国諜報員009は、大使館にファベルジュの卵(偽物)を持ち込んで死亡。やがて本物の卵が競売にかけられ、インドの資産家カマル・カーンが競り落とし、ジェームズ・ボンドはカマルに接近。カマルが、ソ連の軍人オルロフとつながっていることを掴む。
カマルの屋敷から脱出したボンドは、女性ばかりが住む屋敷にたどり着く。ボンドは、女主人オクトパシーと対面。彼女は身寄りのない女性たちを引き取り、表向きはサーカス団員として活動させるも、裏では宝石の窃盗を行っていた。しかし、彼女の知らないところで、オルロフとカマルはサーカスの大砲に核爆弾を仕掛ける策略を進めていた。
ボンドガールのオクトパシーを演じるのは、『黄金銃を持つ男』でボンドと対決する殺し屋スカラマンガの愛人役として出演していたモード・アダムスで、役を変えての再登場になる。演技派志向の人だが、熟女感が出過ぎていて、ボンドガールとしては異色の部類になると思う。またボンドの上官Mも、バーナード・リーの死去に伴い、ロバート・ブラウンという人が新任のMとなっている。
ボンドがインド人諜報員と組んで市内でカマル一味の追手との攻防を繰り広げる場面は、カーチェイスやボートチェイスとはまた違ったスリリングさがあり、かつコメディ要素ももちろん含まれていて見応えがあった。また、カマルの屋敷から単身脱出した際には、着衣で川に入ってずぶ濡れになり、ヒルに刺されるなど、今回のロジャー・ムーアは結構体を張っている。
一方で、設定上よくわからない場面もあった。ファベルジュの卵には、結局どれだけの意味があったのだろうか(オルロフとカマルが協力するための証かな)。また、オクトパシーとカマルは序盤は上下関係がはっきりしていたのだが、それがいつのまにかうやむやになっている。カマルが下に出ていた理由が不明だが、強いて言えばサーカス団を利用したかったからかな。
主題歌は、作品タイトルとは異なる『All Time High』。歌っているのは、リタ・クーリッジだった。
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