Cocco生配信ライブ2020 みなみのしまのそらのいろ@2020年8月31日
当初予定していたライブハウスツアーが中止になり、その代替えとしてcoccoは生配信ライブを実施。ライブに先駆けて彼女からこのライブへの思いが語られたが(コレは別録りの収録)、ダークサイドクイーンがどうとか言っていて、聞いていて「ん?」と思った。
さて画面が切り替わり、ライブハウスと思われる会場に。ステージは、バックドロップにカーテンがひかれている以外に装飾はなく、シンプルだ。
椎野のドラムイントロが印象的な『花爛』でスタート。ライティングは暗めで、Coccoをはじめメンバーの表情を伺うのが難しい。そして序盤はスイッチングが激しすぎて、観ていてちょっと疲れた。
バンドは、ドラム椎野、ベース根岸、ギター堀越という、いつもの彼女のメンバーよりも少なめの編成だ。音がスカスカしている印象があったが、しかし、これはこれでアリと思わせてくれる。堀越は、ストラトキャスターやテレキャスターなど、曲により5~6本のギターを使い分けていた。根岸はスティックベースのほか、『Gracy Grapes』ではなんとウォーギターを弾いていた。ベースとギターの双方の音が出せる特殊な楽器で、観るのはキング・クリムゾンのトレイ・ガン以来だ。
そして注目は、やはりCoccoその人だ。彼女はだいたい白いドレスを着ていることが多いが、今回は黒のロングドレスに黒いヴェールをまとっていて、ゴス系一歩手前のようないでたちだ。更に意外だったのは、ピアニカやキーボードなどを自ら操りながら歌っていたことだ。彼女はライブでは歌に専念するのがほとんどで、手にしたとしてもギターくらいのはずだったからだ。
ダークな彼女、ダークな世界観に釘付けになってしまう。彼女が去年久々に出した絵本『みなみのしまのそらのいろ』も見たが、確かに黒を基調としたダークな世界観で、それがこのライブにもつながっていると感じる。アルバム『スターシャンク』は、聴いていてそれほどダークなイメージはなかったのだが、ここでは暗く重い曲として再構築されている。彼女のヴェールは、いつのまにか赤に変わっていた。
アレンジも、かなり大胆に変えていた。もとは明るい曲調の『願い叶えば』は、真逆の曲に生まれ変わっていた。続く彼女の代表曲『強く儚い者たち』は変拍子もいいとこで、歌いにくくはないのかと思ってしまった。そして、こうした実験こそが、今の彼女がやりたかったことなのではと感じた。いつのまにか自分についてしまったパブリックイメージとは別の表現の追求は、ホールやアリーナではなく、ライブハウスにこそ適していると考えたのかもしれない。
終盤には、新曲を畳み掛けてきた。フロリダやシアトルといった地名が歌詞に含まれた曲は、『7th floor』だそうだ。アッパーな『インディゴブルー』を経て、ラストは『Rock star』という曲。Coccoは大きな白いリボンをつけていて、ちょっとシーアっぽかった。歌と演奏が終わると、あっさりとステージを後に。そして、手書きのセットリストが映し出された。
セットリスト
活動初期を別にすれば、Coccoのライブはホールもしくはアリーナ会場でおこなわれてきたはずだ。ライブハウスとなると、ファンにとっては夢のまた夢で、今回の配信ライブは思わぬご褒美にもなった。個人的にも生配信ライブは今回がはじめてで、自宅のテレビで観るのはテレビ中継ともまた違った感覚があった。今は、発信する側も受ける側も耐える時期だが、近い将来にはまたきっと生の彼女に会えると信じている。
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