Cocco『Live Tour 2019 “Star Shank” -2019.12.13-』
昨年秋にアルバム『スターシャンク』をリリースしたcocco。11月から12月にっかえてツアーをおこなっていて、東京の国際フォーラム公演がDVD化されている。
この日の公演は、序盤から中盤はステージが暗めだった。『スティンガーZ』で明るくなるまではブルーのライティングに彩られ、その後は『音速パンチ』になるまでまた暗めになった。今度はグリーンやレッドのライティングに染まり、ステージに妖しい世界観が構築された。このステージ上で白いロングドレスをまとって歌い上げるCoccoの姿を観るにつけ、音楽ライブというより演劇を観ているような感覚に陥った。
カメラは、当然ながらCoccoを捉えるのが大多数だが、時折切り替わってバンドメンバーもピックアップする。注目は、ベース根岸、ギター長田のDr.Strange Love勢だ。根岸はCocco活動休止前のほとんどの作品をプロデュースし、長田は活動再開後しばらくは根岸のポジションを担っていた。2017年のデビュー20周年ライブで2人は久々に彼女のバンドに加わったが、これは言わば企画もの。再び彼女の制作やツアーに携わってくれたのは、素直に嬉しかった。長田は若いギタリストの藤田と共に前面に出て弾きまくりだが、後方に陣取り淡々とベースを弾く根岸には妙な存在感があった。
『スターシャンク』に伴うツアーとはいえ、改めて見てみるとアルバム全曲が演奏されていた。セットリストの過半数を占めているのは勿論だが、ここまで徹底してひとつのアルバムの世界観を表現しようとしている姿勢は、珍しいと思った。アッパーな『願い叶えば』は場内はノリノリになり、『ドロリーナ・ジルゼ』ではCoccoは間奏のときにステージをいっぱいに使って踊っていた。ラストの『フリンジ』『海辺に咲くばらのお話』は、アルバムを代表するであろうクオリティの高さで、大詰めに持ってくるのも納得だった。
この公演は、ワタシも観に行っていた。座席が2階のステージ向かって左前方だったので、上からステージを見下ろす格好になり、全体こそよく見えたが、メンバーの表情や細かい動きまではさすがによくは見えなかった。なので、映像作品としての流通は、単にライブの追体験ができるだけでなく、より細かいところまでを確認できる機会を得ることになり、とてもありがたい。
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