スクール・オブ・ロック(2003年)
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最終更新日:2024/03/29
リチャード・リンクレイター ディープ・パープル
痛快ロック映画とでも言えばいいだろうか。バンドをクビになった主人公が、カネ目当てにおカタい小学校の教師になりすます。最初のうちはやる気もなくて自習ばかりにする始末だが、子供たちの音楽の資質に触れてからはロックバンド結成を思い立ち、バンドコンテストへの出場を目指すことになる。
主演はジャック・ブラックで、ロックおたく映画『ハイ・フィデリティ』でレコード店の店員役を演じていた人。自身も実際にバンドを組んでいて、レコードリリースもしているそうだ。小学校の校長にはジョーン・キューザックで、この人も同じく『ハイ・フィデリティ』に出演(『ハイ・フィデリティ』の主人公を演じるジョン・キューザックの実の姉。名前が似ていてややこしい)。ジャックは恐らくは地のまま演じていただろうし、ジョーンは校長という立場上厳しい教育者であるが、酔うとタガが外れてスティービー・ニックスを歌うという一面も持つ、という役を演じている。監督は「6才のボクが、大人になるまで。」のリチャード・リンクレイターだ。
もちろん劇中はロックねた満載で、好きなアーティストを子供たちに尋ね、返って来た答えがパフ・ダディやクリスティーナ・アギレラなのにそんなのはロックじゃないとバッサリ。ロックの歴史を教える授業があったり、子供にギターを教えるときはブラック・サバスやディープ・パープルのリフを弾かせ、聴いて勉強しろと言って、キーボードの子にはイエスの『Fragile』を渡す。内気だが歌唱力のあるシンガーの黒人の女の子には、アレサ・フランクリンを例に出して励ます。ロック好きの人ならニヤニヤする場面がたくさんある。
子供たちが授業や規律といった拘束から解放されて、ロックに励むという痛快さ。それはまた、主人公自身の現実と向き合いながらも夢を追い求めたいという願いの表れでもある。もちろん現実はこう簡単にはいかず、どこかで折り合いをつけなくてはならないのだが、少なくとも観ている間だけは、愉快で温かい気持ちにさせられる作品だ。