007 私を愛したスパイ(1977年)
核を搭載したイギリスとソ連の潜水艦が、突如消息不明に。MI6のMはジェームズ・ボンドを呼び出すが、ボンドはオーストリアの雪山でソ連KGBのスパイに命を狙われていて、スキーで滑降しつつストックの銃で追手を倒し、なんとか逃げ切った。ボンドは、潜水艦追跡システムの情報が入ったマイクロフィルムを追って、エジプトのカイロに向かう。
MI6とKGBは共同戦線をとることとなり、ボンドはKGBの女スパイのアニヤと行動を共にする。マイクロフィルムは海運王ストロンバーグの部下ジョーズも狙っており、フィルムを入手した2人は、ストロンバーグの研究所があるサルディーニャ島へ向かう。共に危機を切り抜けるうちに2人はやがて深い仲になるが、アニヤは自分の恋人がボンドに殺されたことを知り、この任務が終わったらボンドを殺すと宣言する。
アニヤはスパイとしての能力も高く、007作品を時系列順に観ていくと、ボンドと対等な関係にあるはじめてのボンドガールに思える。にもかかわらず、タイトルのせいもあるのか、中盤までは任務遂行は表向きで、2人のつかず離れずのラブストーリーのようにも見えてしまった。後半でアニヤはストロンバーグに拘束され、ボンドは救出に向かう。つまり、待つ女と追う男という、オーソドックスな図式に収まっている。
エジプトのピラミッドやスフィンクスをバックにしたロケーションや、アメリカ潜水艦がまるごとタンカーに取り込まれてしまうシーンなど、スケール感の拡大が伺える。007作品でクライマックスの舞台になることが多かった敵アジトの作りが、今一つ安っぽかったことを思うと、今回はそうした不満はあまりない。
アニヤはバーバラ・バック。名前は聞いたことがある人だったが、出演した作品の数はそれほど多くなく、ワタシが他に観た作品もなかった。後に、「おかしなおかしな石器人」で共演した、リンゴ・スター(!)と結婚したそうだ。また、ボンドとアニヤを執拗につけ狙うジョーズは、巨漢で鋼鉄の歯を持つ殺し屋だが、服はほぼ普段着、そしてどこか憎めない表情をしている。終盤、タンカー爆破後にサメと格闘していたが、生死不明でフェードアウトしている。リチャード・キールという人が演じていて、身長2メートル18センチ、世界一大きな俳優という称号を持つ人のようだ。
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