パターソン(2016年)
公開日:
:
ジム・ジャームッシュ イギー・ポップ, ジム・ジャームッシュ
ニュージャージー州パターソン市に住む青年、パターソン。バスの運転手をしながら趣味でノートに手書きで詩を書きため、帰宅後は飼っている犬の散歩をしつつ、バーに立ち寄って軽く飲むという日常を過ごしていた。
パターソンの妻ローラは、カーテンや自分の服、更にはカップケーキまでモノトーンにする、天然いや天真爛漫な女性。通販でギターを買い、パターソンには詩をオープンにすべきと言い、週末にノートをコピーすることを約束させる。
パターソン(とローラ)の一週間を、月曜日の朝から描いている。一見何も起こらない平凡な日常だが、ローラが双子を産む夢を見たというと、パターソンが運転するバス乗客をはじめ、双子と思わしきペアが何度も出没する。バスが故障したり、いきつけのバーで発砲未遂があったりするなど(結局モデルガンだったが)、ちょこちょこと出来事が起こってはいる。
監督はジム・ジャームッシュで、淡々とした描き方と飄々とした雰囲気は、この人の初期の作品を彷彿とさせる。パターソンはアダム・ドライバーで、感情を表には出さないがささやかな幸せを噛み締めている感じは、好感が持てる。ローラはゴルシフテ・ファラハニというイラン系の人で、まあいい味を出してくれている。
「ミステリー・トレイン」にも出演していた永瀬正敏が、終盤に登場。日本人ビジネスマン役でパターソンと対話するのだが、個人的にはとってつけた場面ように見えてしまった。ジャームッシュ作品では常連のひとりイギー・ポップが、バーでのマスターとパターソンとの会話の中で新聞記事の切り抜きとして登場。こういう小ネタは、結構好きだ。
パターソン市は、実在する街だった。主人公の名前と住んでいる市の名前がどちらもパターソンだが、劇中でそのことに対するツッコミはなかった(気がする)。
関連記事
-
ジム・ジャームッシュ・レトロスペクティブで『ナイト・オン・ザ・プラネット』を観た
ジム・ジャームッシュ監督作品を全国のミニシアターで上映するプロジェクト「ジム・ジャームッシュ
-
「カーマイン・ストリート・ギター」を観た
黄金町のジャック&ベティというミニシアターで観たのだが、ほぼ満席だった。年に数回おじゃまして
-
デッド・ドント・ダイ(ネタバレあり)
アメリカの田舎町、センターヴィル。夜になってもなかなか日が沈まない、スマートフォンやテレビが
-
ユリイカ 2017年9月号 特集=ジム・ジャームッシュ ―『ストレンジャー・ザン・パラダイス』から『パターソン』『ギミー・デンジャー』へ―あるいはイギー・ポップ&ザ・ストゥージズ―
文芸雑誌「ユリイカ」の2017年9月号で、映画監督のジム・ジャームッシュを特集していた。当時
-
ブロークン・フラワーズ(2005年)
元プレイボーイだったという、初老の男ドン。独身で気ままに生活していたが、ある日差出人不明の封