リミッツ・オブ・コントロール(2009年)
公開日:
:
ジム・ジャームッシュ ジム・ジャームッシュ, ビル・マーレイ
スペイン。「自分が偉大だと思っている男を墓場へ」という依頼主のことばを受け、殺し屋の男は何人かのコードネームを持った仲間たちから、マッチ箱に入った暗号を受け取り、標的へと近づいていく。キャストはジャームッシュ作品ではお馴染みの人ばかりで、殺し屋(劇中で名前は明らかにされない)にはイザック・ド・バンコレ、標的となる男はビル・マーレイ。以前「ミステリー・トレイン」で出演した工藤夕貴も、殺し屋の仲間のひとりとして出演している。
ジャームッシュ作品ではほぼ毎度のことだが、作品が説明的になることをひたすら避け、観る側に解釈を委ねている。殺し屋は常にエスプレッソを2杯オーダーし、仕事中は携帯電話を使用させないことを自分だけでなく仲間にも強いる。仲間も、殺し屋に接近する都度殺しとは直接関係のない話をしながら、マッチ箱を交換する。
説明のない中で、こうした状況や雰囲気、仕草などを認め、受け入れ、楽しむことができるか、それともできないか。それにより、この作品は傑作にも駄作にもなる。ワタシはジャームッシュがこういう人だというのを知った上で観ているので楽しんだが、やはり観る人を選ぶ作品なのではないだろうか。
音楽が、なんと日本のバンドBorisだった。アイシスのオープニングアクトでライヴを観たことがあるが、退廃的な世界観は作品の雰囲気にマッチしていたと思う。
関連記事
-
ユリイカ 2017年9月号 特集=ジム・ジャームッシュ ―『ストレンジャー・ザン・パラダイス』から『パターソン』『ギミー・デンジャー』へ―あるいはイギー・ポップ&ザ・ストゥージズ―
文芸雑誌「ユリイカ」の2017年9月号で、映画監督のジム・ジャームッシュを特集していた。当時
-
コーヒー&シガレッツ(2003年)
コーヒーとタバコを介し、俳優やアーティストたちが会話する11本のショートストーリーを集約した
-
ブロークン・フラワーズ(2005年)
元プレイボーイだったという、初老の男ドン。独身で気ままに生活していたが、ある日差出人不明の封
-
「カーマイン・ストリート・ギター」を観た
黄金町のジャック&ベティというミニシアターで観たのだが、ほぼ満席だった。年に数回おじゃまして
-
デッド・ドント・ダイ(ネタバレあり)
アメリカの田舎町、センターヴィル。夜になってもなかなか日が沈まない、スマートフォンやテレビが
- PREV
- 007は二度死ぬ(1967年)
- NEXT
- パターソン(2016年)