元クラフトワーク(Kraftwerk)のフローリアン・シュナイダー(Florian Schneider)さん死去
クラフトワーク創設者のひとりフローリアン・シュナイダーさんが、さる4月21日に亡くなられていた。死因はガンとのこと。亡くなる2週間前に、73歳の誕生日を迎えたばかりだった。
シュナイダーさんは、音楽学校で知り合ったラルフ・ヒュッターと共にクラフトワークを創設。初期は実験的な環境音楽だったが、やがてロックに接近する。それでも、ギターやベース、ドラムといった生楽器は使わず、電子音楽で創作していた。1974年発表の『Autobahn』から1986年の『Electric Cafe』(現在は『Techno Pop』)までは、どれも名盤だ。その後活動はスローダウンするが、90年代後半から動きがあり、21世紀は定常的に活動している。シュナイダーさんは創作活動に専念する意向を見せ、2009年にクラフトワークを脱退していた。
個人的には、シュナイダーさん在籍時のクラフトワークを3度観ている。1998年の赤坂Blitz公演、2002年のエレクトラグライド、2004年のZepp Tokyo公演だ。ライブは、4人が横一列に並んで卓上で操作するという、ほとんど唯一無二と言っていいスタイルだった。向かって左端のラルフ・ヒュッターは、リードヴォーカルなこともあってそこそこ躍動しているが、向かって右端に陣取るシュナイダーさんは、ぱっと見はほとんど動いていないように見えた。ラストの『Music Non Stop』ではひとりずつ退場するのだが、そのときにシュナイダーさんが敬礼のように手を挙げて去っていくのを見て、動いた!と変な感動をしたものだった(笑)。
洋楽といえば、アメリカとイギリスがその中心だ。クラフトワークはドイツのデュッセルフドルフの出自で、やはり英米とはちがう独特の感覚を放っていた。以前、音楽誌で「電子音楽のビートルズ」と称されていたことがあったが、あながち大げさな形容でもないと納得したものだった。シュナイダーさんがクラフトワークを脱退して10年以上にもなるが、残した業績と後のアーティストに与えた影響はとてつもなく大きい。謹んで、ご冥福をお祈りいたします。
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