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ふたり(1991年)

公開日: : 大林宣彦

ふたり

ワタシが日本の映画にこれ以上のものを求めないと思う作品があって、それは大林宣彦監督の「ふたり」だ。

成績優秀でスポーツもできてピアノもできる、姉千津子。彼女は妹の実加にとって憧れの存在であるだけでなく、学校内でもかなり目立つ優等生だった。しかし、登校中に不慮の事故で千津子は亡くなってしまう。母は精神的に不安定になるが、実加は父と共に母を支えていた。あるとき実加の前に、彼女にだけ見える千津子が現れる。千津子(の幽霊)のサポートを得て、実加はさまざまな困難を乗り越え、成長していく。

原作が赤川次郎、監督が大林宣彦。赤川は当初この作品を映画化してほしくないと思っていたが、完成した作品を観て、満足を通り越して感激した旨のコメントを出している。大林は故郷尾道で撮影し、キャストとスタッフはまる2ヶ月間を尾道で過ごしたそうだ。当初は1990年にNHKで2週に渡って放送され、翌1991年に劇場公開された。ワタシは、どちらも観た。映画の方がトータル時間が長く、テレビ版にはないシーンが追加されていた。

主なキャストは、実加は石田ひかり、千津子は中嶋朋子、父が岸部一徳、母が富司純子。大林作品には常連の尾美としのりも、もちろん出演している。石田ひかりは、この作品を機にアイドルから女優へと変貌し、各種映画賞を受賞しまくった。現在は作家やコメンテーターとして活動する中江有里、バラエティーの方に行ってしまった島崎和歌子も、出演している。ワタシは、今でもテレビなどで彼女たちを観ると、この作品のことを思い出す。

主題歌『草の想い』は、劇中では千津子と実加によって歌われ、エンディングでは作曲した久石譲と大林がデュエットしている。このほか、中嶋がCDシングルをリリース。当時の劇場版パンフレットにはこのいきさつもあって、「北の国から」の蛍のイメージが抜け切らない中、地道に女優業を頑張り続けてきた彼女へのご褒美と書かれていたと思う。

「笑っていいとも!」のテレフォンショッキングで、石田ゆり子が妹の石田ひかりを紹介し、石田ひかりが「私のもうひとりのお姉さん」と言って中嶋朋子を紹介したことがあった。それは、2人が「ふたり」で姉妹役で共演していたからだ。

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