復活の日(1980年)
1982年前後。東ドイツの軍が開発していた細菌兵器が盗まれるが、盗んだスパイは事故で墜落してしまい、この細菌が世界中に蔓延し人類は死滅してしまう。ただし、細菌は気温0度以下ではその効力を失うため、各国が南極に構える基地にいる人だけは生き残った。地震学者の吉住は、アメリカ大陸に地震が起こることを予知。地震が起こればその衝撃波に反応してアメリカ軍の核ミサイルが発射され、それに反応してソ連の報復ミサイルも発射されてしまう。
劇場公開は1980年で、当時としての近未来の出来事という設定だったようだ。東西冷戦という世界情勢を背景に、あるひと握りの国家の軍事力が世界中を破滅に陥れてしまうという、決してありえないことではないアイディアを具現化し、日本映画としては破格のスケールで描いている。が、興行的には振るわなかったそうだ。作品自体を観たのはかなり後だが、公開当時のテレビCMでボロボロになった男(主人公)が夕陽や大自然をバックにひたすら歩き続けるショットは、かなり衝撃的だった。
配役はかなり豪華。主人公の吉住は草刈正雄で、以下夏木勲、千葉真一、森田健作、渡瀬恒彦という、当時の角川映画ではお馴染みの面々が揃っている。ほかにも多岐川裕美、永島敏行、緒形拳、小林稔持などが出演したほか、海外の俳優もオリビア・ハッセーやジョージ・ケネディなどが出演している。監督は深作欣二、原作は小松左京による小説だ。
ネダバレで書くと、結局余震に反応して核ミサイルは発射されてしまい、世界は「2度」滅亡してしまう。それでもなんとか生き残った吉住が、数年後か数10年後に南極から生き残っていた人たちと再会するところで、ラストを迎えている。
この作品での細菌は、気温0度以下では非活性化するところに、人類が生き延びることができる余地があった。今回の新型コロナウイルスは、冬場に蔓延していることから低温では活動することは既にわかっているが、せめて気候が暖かくなることで収束すればなあと思ってしまう(実際はアフリカや中南米でも感染が確認されているので、残念だがそれは望めなさそうだ)。
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