東京事変『Bon Voyage』
2012年1月に解散を発表した東京事変。最後のツアーは、2月に横浜2回、大阪2回を経て、武道館で2公演をおこない、2月29日で解散した。その最終武道館公演が、映像化されている。
まず、画質が恐ろしく鮮明なことに驚かされる。個人的には『ウルトラC』も『Discovery』も同じくブルーレイで観ているのだが、全編に渡り画質が格段に向上していて、ブルーレイの資質を発揮させていると感じる。
ライブは『生きる』でスタート。ステージには、バンド5人のほか、斎藤ネコ率いるオーケストラ数10人、そして4人の女性ダンサーという大所帯だ。この編成、今観ると、ソロ活動を再開した椎名林檎が2014年におこなった「林檎博」のプロトタイプのようにも思える。
1月の解散発表後にリリースされたミニアルバム『color bars』からの曲が、序盤に披露される。『今夜はから騒ぎ』は前年のツアー「Discovery」の時点でも披露されていて、このアルバムの看板曲のようだ。『color bars』はメンバー5人が1曲ずつ作詞作曲していて、曲によっては当人がリードヴォーカルをとっている。
『怪ホラーダスト』では伊澤一葉がV系のような衣装にピンヒールを履いて歌い、林檎がピアノを弾いていた。『ほんとのところ』では刄田綴色がステージ中央に踊り出て熱唱、このときは林檎がドラムだった。『sa_i_ta』は、浮雲が書いた曲だ。東京事変は椎名林檎自身がメンバーのひとりとして音楽活動をする集団で、事実林檎以外のメンバーも曲を手掛けていたのだが、最後になってより一層その色を出してきた。
このツアーのテーマは、「Bon Voyage」。フランス語の「良い旅を!」で、ラストを湿っぽくするのではなく、旅立ちとして明るく送り出すという意味合いのようだ。MCでは浮雲が「ボンボヤってる~?」と呼びかけていた(笑)。アイスクリームをトレードマークにしていて、童謡の『アイスクリームのうた』や、栗山千明に提供した『おいしい季節』なども披露していた。
本編を『空が鳴っている』で締め、アンコールでは『丸ノ内サディスティック』や『青春の瞬き』を。後者も栗山に提供した曲で、後々CMに使われたり、紅白で歌ったりと、結構重みを増している曲だ。
ダブルアンコールそしてオーラスは、『透明人間』。この直前の伊澤のMCが印象的だった。事変は終わっても、音楽は続くから。また聴きたくなったら、椎名さんに連絡を、とのことだった。メンバーがステージを後にし、『ハンサム過ぎて』をBGMにして、スクリーンには宣材写真やメンバーのオフショットなどが流れた。
ラストツアーは一般発売はなく、すべて抽選だった。ワタシは幸運にもこの最終公演に当選し、最後の瞬間に立ち会うことができた。その模様が記録され、永遠に残るのは、とてもありがたいことだ。
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