*

東京事変『ウルトラC』

公開日: : 最終更新日:2023/05/28 CD・DVD・映像 ,

東京事変『ウルトラC』

は、2010年にアルバム『スポーツ』をリリース。その全国ツアー「ウルトラC」から、5月12日の東京国際フォーラム公演が映像化されている。

当然ながら、新譜『スポーツ』からの曲がセットリストの軸になるが、このアルバムは事変になってからロックバンドモードが全開していて、個人的には事変の最高傑作だと思っている。キラーチューンになりうる(いや、なっている)『電波通信』を序盤で早くも放ち、以外の4人の短いソロが組み込まれる『OSCA』で、ショウは早くも沸点に達した。

このツアー、個人的には前半の名古屋公演と、この収録の前日の国際フォーラム公演に行っていた。名古屋のときは中盤にメンバーMCコーナーがあり、ドラム刃田とキーボード伊澤が名古屋観光をした写真を見せ、つまりクールダウンした和みモードがあった。こうした趣は、それまでの事変のツアーでもあったことだ。

しかし、ツアー後半の国際フォーラムではMCがほとんどなく、バンドは歌と演奏に徹底していた。場内は緊張感に包まれ、事変がこのモードにシフトしたことに度肝を抜かれてしまった。このモードは、事変になってからはじめて、そして椎名林檎のソロのとき以来だと思ったからだ。

本編ラストの『雨天決行』で、ステージ後方に陣取ることの多かった亀田誠治が前方に出てベースを弾き、そのすぐ横で切々と歌い上げる椎名林檎の姿を見て、バンドは悟りの境地に達したのではと思ってしまった。

名古屋では2回だったアンコールは、ここでは1回に凝縮された。『丸ノ内サディスティック』は、東京公演でセットリストに組み込まれたようだ。オーラスは、『スポーツ』のラストナンバーでもある『極まる』。最後はステージにスモークが炊かれてメンバーが見えなくなり、スモークが消えると無人になっているという演出だった。

このツアー、メンバー5人にゆかりのある地を巡っていて、その地オンリーの試みが特典映像として収録されている。千葉ではギター浮雲、福岡では林檎、大阪では亀田、島根では刃田、岡山では伊澤という具合。中でも秀逸は島根で、刃田が石見神楽の演舞をステージ上で繰り広げた。

ツアーの前半と後半とでは、あまりにモードが違っていた。個人的には、国際フォーラムの鬼気迫るモードには狂喜したが、一方でこのツアーが終わったら事変は解散してしまうのではという想像もした。いい意味でのユルさが事変の活動を円滑にしていたと思っていて、それが「封印」を解いたことで最終コーナーに足を掛けたように思えたからだ。

関連記事

東京事変『Hard Disk』

2012年2月の解散から1年後の2013年2月、東京事変はボックス『Hard Disk』を初

記事を読む

栗山千明『CIRCUS Deluxe Edition(DVD付)』

東京事変のラストツアーも、いよいよ今夜と明晩を残すのみ。ネット上に流れているセットリストをも

記事を読む

東京事変『Bon Voyage』

2012年1月に解散を発表した東京事変。最後のツアーは、2月に横浜2回、大阪2回を経て、武道

記事を読む

東京事変『珍プレー好プレー』

2012年2月29日に解散した、東京事変。解散後もいくつかリリースがあって、『珍プレー好プレ

記事を読む

東京事変2O2O.7.24閏vision特番ニュースフラッシュ

「東京事変2O2O.7.24閏vision特番ニュースフラッシュ」を配信で見た

今年8年ぶりに再生した、東京事変。2月から4月にかけてツアーが計画されていたが、コロナ禍によ

記事を読む

  • 全て開く | 全て閉じる
PAGE TOP ↑